SNS被害最多 対策尽くして子ども守れ

西日本新聞 オピニオン面

 インターネットの会員制交流サイト(SNS)への不用意なアクセスが若者を中心に問題になっている。各種の規制や対策が進んでいるにもかかわらず、昨年、SNSを通じて性犯罪などの被害に遭った18歳未満は2082人(警察庁統計、確定値)で過去最多だった。

 新型コロナウイルスの感染拡大で、多くの学校が事実上例年より早めの春休みを迎えた。進学や新学期を前に各家庭で、便利で楽しいSNSの弊害についても話し合ってみたい。

 SNSは情報の発信、共有、拡散を介して人間関係を構築できる点が特徴だ。スマートフォンでの利用者が多く、10代の利用率は8割を超える。有害サイトなどにつながらないようにする「フィルタリング」機能も強化されてきた。

 さらに踏み込んだ対策をしようと、IT大手サイバーエージェントは東大大学院と協力し、人工知能(AI)を使った取り組みに乗り出す。子どもの誘い出しといった犯罪を行う恐れがある人物を閲覧履歴などから割り出し、自社運営SNSの会員約400万人に対して事前警告するシステムを導入する。

 同社SNSはかわいいキャラクターを使い他の会員と自由にやりとりを楽しむサービスで、会員の大半は10代という。中には犯罪目的で年齢や性別などの情報を閲覧し、言葉巧みに子どもに近づく者もいるという。

 子どもたちが親しみやすいサイトほど危険と隣り合わせの面がある。

 SNS事業者の多くは、相手の連絡先を聞き出し誘い出すような書き込みを監視している。だが最近は「会って話したい」といった直接的な表現を避け、援助交際を「援」や「サポ」などとする隠語を使い、発覚を避け巧妙化する手口が目立つ。

 愛知県で昨年5月、13歳少女にわいせつ行為をしたとして中学校講師が逮捕され、昨年10月には神奈川県でプロ野球選手が16歳少女にみだらな行為をし、スマホで撮影したとして摘発された。いずれも被害者とはSNSで知り合っていた。

 昨年、犯罪被害に遭った子ども2082人には中高生(1891人)のほか小学生(72人)も含まれている。強い危機感を抱かざるを得ない。

 インターネットは普及当初、「自由の空間」であり、規制にはなじまないという声も目立った。しかし今や、社会や世界をつなぐ技術の中心である。

 各国とも有害サイトの法規制を進めているが、全てを法律では取り締まれない。ネットに携わる通信やSNSの事業者は子どもたちを守るために連携し、対策を尽くしてほしい。

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