コロナ、被爆地長崎に影「発信力弱まる」 講話や平和大使派遣中止に

西日本新聞 夕刊 華山 哲幸 徳増 瑛子

 新型コロナウイルスの感染拡大が、被爆地からの平和発信や被爆体験の継承にも大きな影響を与えている。長崎市では被爆者講話のキャンセルが相次ぎ、平和活動団体の海外派遣が中止となった。被爆者からは「被爆75年の節目なのに発信力が弱まってしまう」と懸念する声が上がっている。

 今月下旬、平和祈念像前の広場は晴れた午後にもかかわらず閑散としていた。例年ならば多くの修学旅行生や団体客でにぎわうが、この日は数人の個人旅行者が訪れているのみ。散歩に訪れた市内の70代女性は「県外の子どもたちが被爆地のことを知って、祈る機会を持ってもらいたかったのに残念」と語った。

 長崎平和推進協会によると、2月末から6月まで予定されていた協会所属の被爆者による体験講話が計94件、中止か延期となった。多くは修学旅行生向けで、参加予定人数は1万人を超えていたという。同会継承部会長の池田道明さん(81)は「高齢化している被爆者の声を届けられる期間はそう長くない。少しでも時間のロスはしたくないが、子どもたちと自分たちの健康を守る上でも仕方ない」と複雑な表情を見せる。

 また、5月に予定されていた広島市出身の被爆者でカナダ在住のサーロー節子さん(88)の来日が取りやめとなり、長崎市での講演も延期となった。

 核廃絶を求めて署名活動に取り組む高校生平和大使は、3月のノルウェー訪問を中止。10日に締め切りだった第23代高校生平和大使の選考会への応募も4月30日に延ばし、それに伴って予定されていた長崎県内選考会も延期した。派遣団体の平野伸人共同代表は「状況が日々変化しているので見通しが立たない。見守るしかない」と話している。

 (華山哲幸、徳増瑛子)

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