ハワイ島(米国)下 活火山を見て、食べる?

西日本新聞 夕刊 山上 武雄

 ハワイ島の旅、今回目指すのは東部のヒロ地区。島全体を時計に見立てたら、短針が2時半ごろを示すあたりだ。

 西部のコナから「ダニエル・K・イノウエ・ハイウエー」を横断し、ヒロ地区に着いた車は、看板に「CAFE100」と記されたレストランでストップ。ここでランチ。ハワイ名物のロコモコ専門店だ。現地でも人気で行列ができる。

 ロコモコは、目玉焼きを乗せてスパイシーなソースをかけたご飯と、サラダが“同居”する陽気な食べ物。日本からの移民が考案したという。いかにも南国らしいじゃないか。食欲がそそられるじゃないか。

 店の名は第2次世界大戦の大隊名にちなむそうだ。「創立者が、大戦で多くの日系人犠牲者を出した第100大隊の出身者です」と案内役の長谷川久美子さん。犠牲になった仲間を弔い、彼らの勇気をたたえる思いが店名に込められている。ちなみに長谷川さんは「ハワイ島に最も詳しい。辞書のよう」とガイド仲間から絶賛されている人だ。

 メニューには普通サイズのロコモコから「ダブル」「スーパー」。極め付きは「キラウエア」。ハワイ島のあの火山を模した山盛りのごはんに目玉焼きダブルに、肉もてんこ盛り。まさに溶岩を噴き出す火の山のよう。何キロカロリーかよと突っ込みたくなる。でも、だけど、しかし、せっかくの旅ではないか。遠慮はいらないではないか。

 ムリだった。キラウエアの卵が乗っかった「火口」の部分から9合目、8合目…と勢いよく食したものの、ペースダウン。3合目付近でギブアップ。もったいない。やはり、腹八分目がいいか。十分すぎる。いや十二分だ。数字が並んでしまった。

   ◇     ◇

 膨れたおなかを抱え、南へ。ハワイ火山国立公園。今度は本当のキラウエアだ。世界最大級の活火山キラウエアは2018年5月に激しく噴火。一部地域が立ち入り禁止区域に指定され、溶岩流で民家をも焼いた。噴火活動は終息し、今は安全。当時の様子を身ぶり手ぶりに長谷川さんが解説する。話す傍ら、道ばたで休む鳥の名前まで教えてくれた。さすがに詳しい。

 火口の雄大な姿を見ることができる展望台に上ると、独特のにおいが鼻孔を抜ける。なんだか覚えがある。別府温泉血の池地獄!

 そんなこんなで終えたハワイ島ツアー。一つ間違った所作をしていた。旅の最初に教えられた「アロハ」のサイン。おはよう、こんにちは、こんばんはの意味と思っていたが、さよならでも使える。道路を横切ろうとして車を止めてくれた、ドライバーへのあいさつにも。いくつかの指を立てるのだが、覚えがあるぞ。昭和50年代に大ヒットしたギャグ漫画「まことちゃん」(楳図かずお作)でおなじみのあれではないか。また会うためのさらばを意味する「サバラ」ポーズ。「アロハ」を参考にしていたのか。ハワイで学んだのか、楳図先生。奥深い。

 あちらこちらで習いたてのサインを見せる。ところが相手は不審がった。

 それが違っていたのを知ったのは最終日。親指、人さし指、小指を立てて、薬指と中指をたたんだのが「サバラ」。しかし、「アロハ」は立てるのは親指と小指だけ。訳知り顔は私の悪い癖。あっちで「サバラ」、こっちで「サバラ」「サバラ」…。ずっと「サバラ」を通していたのだ。

 それを差し引いても本当に印象に残る旅だった。もう一度行きたい、住みたい。おすすめです。それではみなさん「サバラ」。じゃなく「アロハ」。 

思わず感傷的に 黒砂海岸

 2018年の火山活動で島の南東に新たに形成された黒砂海岸。溶岩流が海まで流れ出し、ごつごつとした黒い石になった。溶岩に囲まれた潮だまりもある。ちょうど日が暮れる頃、この海の向こうは米大陸なんだなとおじさんは柄にもなく、感傷的になってしまった。

(山上武雄)

【メモ】ハワイを周遊するにはレンタカーを使ってもいいが、ガイドがいると心強い。前回のガイド、ケンさんが運営する「ホロホロ・アイランド・ツアーズ」は、ワイピオ渓谷で日本語ガイド付きの乗馬ツアーや観光客の要望にあったオプショナルツアーを用意している。今回の長谷川さんの「ハワイ・ネイチャー・エクスプローラーズ」は、在来植物や野鳥観察に強く、自身もネイチャーガイドとしてオリジナルツアーを企画している。

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 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、米ハワイ州は26日から、州外からハワイを訪れる全ての人を対象にホテルなどでの2週間の待機を義務づける「自己隔離措置」を実施する。渡航する場合は、ハワイ州観光局のサイトで最新情報の確認を。

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