関電問題報告書 原発動かす資格はあるか

西日本新聞 オピニオン面

 ひとたび深刻な原発事故が起これば、周辺住民の暮らしはもとより社会全体に壊滅的な影響を与える。東京電力福島第1原発事故で学んだことだ。そんな原発の運転を、こんな組織に任せて大丈夫なのか。関西電力への不信は強まる一方である。

 関電の役員らが、原発の立地する福井県高浜町の元助役(故人)側から高額の金品を受け取っていた問題で、関電の設けた第三者委員会が調査報告書を公表した。金品受領者は判明分だけで75人、総額3億6千万円相当に達した。関係は30年以上に及び、2018年の社内調査で把握された分より、時間も人数も広範囲だった。

 元助役は自身が関係する企業への工事発注を強引に要求し、関電は組織的に応じていた。年間の発注予定額を伝え、約束に見合う工事量を確保していた。「特別扱いは認められなかった」と見返りを否定した社内調査の結果とは正反対だ。元助役が加害者、関電は被害者-そんな結論ありきの社内調査だったのではないか。真実をねじ曲げて隠そうとする組織に、原発を動かす資格はあるのだろうか。

 地元有力者だった元助役を「怪物」にしたのは関電の側だ。高浜原発3、4号機の増設やトラブルの解決に力を借り、「関電の弱みを握る人物」になった元助役を、関電は子会社の顧問に迎え、接待を繰り返した。顧問料や接待費は累計で1億5千万円を超える。こうした異常な対応が「地元重視」の名の下に正当化されていたという。

 何より深刻なのは経営トップの姿勢だ。社内調査で金品受領の概要が分かっても、当時の社長、会長、相談役が早々と公表しない方針を決め、取締役会での情報共有もなかった。金品受領で税金を追徴された4人への穴埋めを決め、元副社長には実行していた。

 さらにあきれるのは、福島原発事故後に赤字に陥り電気料金を値上げした際の役員報酬カット分もこっそり補填(ほてん)していたという事実だ。驚くほかない。

 役員らが受け取った金品も、報酬カット分の穴埋め資金も、元は利用者が払った電気料金である。身内に甘い体質は早急に改めるべきだ。関電はきのう業務改善計画を経済産業省に提出し、外部から会長を招くと発表したが、第一歩にすぎない。

 関電は電力大手の中でも原発への依存度が高い。いびつな「地元重視」がまかり通っていたのも、社内での原発部門の閉鎖性が背景にある。

 九州電力の「やらせメール」問題でも指摘された課題だ。原発を動かすための不透明な地元対策は他の電力会社ではなかったのか。検証が必要だ。

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