不登校の中で見つけた“居場所”…高校生マジシャン、努力で培った自信

西日本新聞 社会面 四宮 淳平

 小学生の頃に抱いた驚きを追求し、マジシャンとして活動する現役高校生がいる。福岡県の悠斗さん(16)。一時は学校に行けず、自宅に引きこもる生活を送る中、マジックの腕は磨き続けた。「手品がなかったら、布団にくるまったままだったかも」。“居場所”は学校だけではない。地道な努力で培った自信を胸に舞台に立つ。

 親戚の「親指を切り離したように見える手品」を見て衝撃を受けたのは、小学2、3年の時だった。仕組みが分かる周りの大人は笑い、不思議に思ったのは悠斗さんだけだった。

 手品に興味が湧き、100円ショップのグッズを買いそろえて練習し、学校の行事で披露した。「どうなっとん」「えー!」。目を丸くする級友の姿がうれしく、やり方を教えて一緒に楽しむこともあった。

 そんな学校生活は担任教師との関係で一変する。飼っていたモルモットの歯について調べ、夏休みの自由研究として提出すると、担任は「こんなの研究にならんわ」と切って捨てた。いつも見下されているように感じ、恐怖感までも募らせていった。

 学校に近づくだけで気分が悪くなり、自宅にこもる日々。体に力が入るのは手品の練習でトランプに触れる時と、福岡市内に当時あったマジックショップに行く時だけだった。店長や常連客が優しく教えてくれるのが喜びだった。

 そのまま小学校を卒業し中学校へ。不登校は続いていたが、静かに話を聞いてくれる教職員の存在が支えとなった。教師が集まり校長室で手品の披露会も企画してくれ、少しずつ学校に足が向かうようになっていった。「最初は緊張したけど、舞台度胸はその時についた」

 家族も不登校を受け入れた。父親(45)は「ずっとトランプを触っていられる特殊な能力があるんだろう」と感心する。中学を出た後は、自由に使える時間が多い広域通信制のN高に進学。週1回通学する一方、「朝から練習を始め、気が付くと夜」という日もあるほど手品に熱中しており、技の完成度や観客への見せ方を研究している。

 現在は、つてのある高齢者施設や幼稚園などで月に1、2回ほど手品を披露。トランプにリング、ひもなどを使い多彩な技を繰り出す。「相手の反応が分かりやすいのも魅力だけど、やっているだけで面白い」。将来は大がかりな舞台装置を用いたマジックショーを行う夢を構想している。

 公演依頼などは悠斗さん=magician_yuto@yahoo.co.jp (四宮淳平)

福岡県の天気予報

PR

福岡 アクセスランキング

PR

注目のテーマ