「仕事、今年はないかも」収入途絶え…  コロナで“派遣切り”再来

西日本新聞 総合面 一瀬 圭司

 新型コロナウイルスの感染拡大のあおりで、派遣社員やパート従業員など非正規労働者の雇用環境が急速に悪化している。観光業や製造業では、自粛による需要の「蒸発」で雇い止めや派遣切りの動きが出ており、労働組合への相談も急増。感染拡大の影響が長期化することで、2008年のリーマン・ショック後より厳しい状況に陥りかねないとの見方も出ている。

 「今年は仕事がもうないかもしれない」。こう不安を吐露するのは、海外旅行の添乗員歴約25年の女性(55)。大手旅行会社の派遣社員として働いてきたが、3月に入ってからは予定していたツアーが全て中止になり、収入が途絶えた。

 旅行会社の傘下にある派遣元から補償の説明はなかった。掛け合うと、代わりに家電製品やランドセル販売員や引っ越しといった不慣れな仕事を勧められた。「派遣社員だからといって都合よく使うのか。一定の補償をしてほしい」と、女性は憤る。

 労働組合には、非正規雇用の人からのこうした相談が止まらない。30、31日に連合(東京)が行った緊急電話相談では168件のうち7割が非正規雇用。電話はひっきりなしに鳴り続け、取れなかった電話も約400件に上ったという。

 相談で目立つのは、無給で出勤停止にされるといった法令違反が疑われる事例。インターネットで加入できる「ジャパンユニオン」(東京)の菅野存(あり)執行委員長は「コロナ対策を名目にした不当な扱いは許されない」と語気を強める。

 非正規雇用はリーマン直後の09年の1727万人から増え続けており、19年は2165万人。近年は高齢者の割合が2割とリーマン時よりも増えている。

 厚生労働省によると、新型コロナ関連で解雇されたり雇い止めされたりする見込みの人は30日時点で正規雇用も含め1021人。日本総研の山田久氏は「リーマンよりも影響が長期化する可能性がある。1年はみておいた方がいい」とした上で「年金が少ないシニアもおり、政府はセーフティーネットをしっかりと張り巡らせる必要がある」と指摘する。 (一瀬圭司)

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