電車で「すぐに降りますので、どうぞ」…高校生がついた優しいうそ

西日本新聞 オピニオン面

 彼女はエープリルフールが嫌いだった。彼のうそによくだまされるからだ。重い病気になった、転勤が決まった…。ついつい信じて、泣いてしまう

▼また訪れた4月1日。もうだまされないと用心していた。彼の部屋で過ごすうちに夜も更けて、午前0時近くに。今年はうそはなしかな、と思っていたら、彼が真顔になって「結婚しよう」

▼そんな大事なことでうそをつくなんて。号泣する彼女に、彼は優しく言った。「だましてごめん。でも、うそはあれ」と壁の時計を指さした。実は時計の針を遅らせていて、日付は変わっていたのだ。彼女を見つめ、彼は「一生、君をだまさない。結婚してください」

▼ネットで見掛けた体験談を、ちょっと脚色したお話。エープリルフールにつき、拙文お許しを。ネット上にはこんな話も

▼混んだ電車の中。立っていた妊婦らしき女性に、高校生が「すぐに降りますので、どうぞ」と席を譲った。電車は次の駅に。ホームに出た高校生は、別の車両の扉から再び車内へ。女性に気を使わせまいとした、小さな、優しいうそだった

▼新型コロナの感染拡大で外出もままならず、鬱々(うつうつ)とした日が続く。こんなときは悪質なデマや根拠のない中傷が飛び交いやすい。事の真偽にも神経を使いがちだ。けれど、決して人を傷つけず、すぐにばれて、笑える-。そんな優しい「うそ」を楽しめる心の余裕を、きょうくらいは持ちたい。

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