後半国会 疑惑解明に背を向けるな

西日本新聞 オピニオン面

 2020年度予算が成立し、通常国会は後半戦に入った。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぎ、早期の終息を実現することが最優先の課題であることは言うまでもない。

 そもそも新型コロナ対策の関連予算が含まれていない当初予算である。安倍晋三首相は先週末の政府対策本部で感染拡大を受け、緊急経済対策と20年度補正予算案の編成を指示した。

 首相は「リーマン・ショック時を上回る規模の対策を取りまとめる」と表明した。リーマン後の09年4月に政府がまとめた緊急対策は財政支出15兆円を含め事業規模56兆円だった。これを超す「過去最大」規模とすることで、首相は危機に対する政権の姿勢を示したいのだろう。

 中身も、家庭向けに対象を絞った現金給付をはじめ、中小企業対策▽非正規を含めた雇用の維持・確保▽感染拡大抑止後の運輸・外食・イベント関係の需要喚起策-など多岐に及ぶ。

 事業規模など数字に固執することなく、今回の感染拡大で疲弊した業種や困窮する世帯など弱い立場の人たちに配慮した対策を練り上げてほしい。

 新型コロナ問題に対応して「政府・与野党連絡協議会」が設置され、初会合も開かれた。感染拡大防止や経済対策に関する議論の場である。政策を提案して実現につなげたい野党側と、情報交換にとどめたい与党側との思惑の違いも指摘されるが、ここは政府と与野党が協調して緊急課題へ即応する協議会として有効活用してもらいたい。

 新型コロナウイルスも対象とした改正特別措置法に基づく緊急事態宣言の発令について、首相は「現段階で宣言する状況にない」との認識を示す一方、「瀬戸際の状況」とも表現した。

 共同通信社の世論調査(3月26~28日実施)によると、新型コロナ国内感染の見通しで「広がっていく」は74・5%で、「収まっていく」の21・1%を大きく上回った。首相は先の記者会見で「長期戦を覚悟する必要がある」と述べたが、国民は既に覚悟しつつあるとも言える。

 こうした情勢だからこそ、大切なのは首相が率いる政府と国民の確かな信頼関係ではないだろうか。いま首相の政治姿勢を巡り浮かんでいるのは、公私混同ではないかと批判を浴びた「桜を見る会」、東京高検検事長の定年延長、自殺した近畿財務局職員の遺書と手記が明らかになった森友学園問題決裁文書改ざんなど、国会で野党が追及してきた数々の問題だ。

 疑惑解明に背を向けることなく、首相は国民の疑問を率直に受け止め、説明責任を果たしてほしい。その真摯(しんし)な政治姿勢が新型コロナ対策の大前提だ。

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