東京五輪が開かれた1964年、その夫婦は結婚した…

西日本新聞 社会面 永野 稔一

 東京五輪が開かれた1964年、その夫婦は結婚した。病気で入院中の夫(84)は、家族と会えなくなった。新型コロナウイルス感染拡大で面会が禁止されたからだ。

 面会できた頃の夫は、枯れ木のようにやせながらも、妻(77)と毎日顔を合わせると表情を少し緩めた。「歩かんと寝たきりになるよ」と声を掛ければ、ベッドから重い体を起こしてもいた。子どもたちが会いに来ても、名前を思い出せないようだったが、妻の名前は連呼していた。時には怒鳴ることもあり、「今日は元気いいね」と、家族で喜び合った。実を言えば、この「夫」は私の父である。

 母である妻は、大好きな卓球や、運営を手伝う子ども食堂がコロナ禍で休止。生活の張りを失い、夫に会いたくて仕方がない。感染拡大が一日も早く終息し、面会を制限されている各地の夫婦や親子が、五輪中継を一緒に楽しめる日が来ることを願わずにはいられない。 (永野稔一)

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