「山笠の街に生き方教わった」大島先生、博多に別れ 情熱注いだ20年

西日本新聞 ふくおか都市圏版 手嶋 秀剛

 博多っ子たちから「大島先生」と慕われた、大浜公民館(福岡市博多区下呉服町)の館長大島弘枝さん(76)が31日、退任した。博多中心部の旧冷泉小と旧大浜小で教諭と校長を務め、統合後の博多小でも3代目校長となった。館長職まで含め通算20年、教育や地域づくりに情熱を注いだ博多の街に思い出は尽きない。

 博多との縁は1981年から6年間、教諭を務めた冷泉小から始まった。「山笠に出会い、本当の博多を知りました」。40歳前後の頃に、腕白(わんぱく)ざかりの博多っ子を教えた。教え子の一人で大黒流の取締平川陽一さん(45)は「しかられると怖かったけど、優しい先生でした」。公民館長退任を知った平川さんらは昨年、約20年ぶりに同窓会を開いて大島先生を招待した。

 冷泉小を離れて7年ぶりに博多に戻ったのは94年。統合直前の大浜小の校長だった。校区の住民を“先生”に招いて「博多にわか」などを児童に教えた。男性教諭らを「博多っ子を教えるなら、山笠に出らな」と叱咤(しった)し、山舁(やまか)き姿にした。

 校庭に桜が咲く季節。「花見をさせて」と住民たちがやってきた。校内での酒宴に戸惑ったが、引き受けた。「校区の人たちを信頼するのが校長」との信念があったからだ。夜桜を楽しんだ住民らは感謝を込めて、いちばん大きな桜の木に「ひろえざくら」と名付けた。98年春、閉校式後の花見には、校区で営む博多名物の屋台もやってきた。

 博多小の校長になったのは2002年。学校を拠点に、統合した4校区の一体感づくりに尽力した。その一つが、旧奈良屋小から受け継いだ女子児童のどんたく隊。全校の女性教諭を率い、花笠と着物姿でパレードに参加。子どもたちとしゃもじをたたいて踊った。

 当時のPTA会長だった博多松囃子(まつばやし)振興会会長の堀武志さん(64)は「大浜小、博多小を通じて、誰にもまねのできない校長先生だった」と振り返る。退任の謝恩パーティーには校区から約250人が集まった。

 12年から大浜公民館長に。「地域に開かれた公民館に」と心を砕いた8年間。退任を控えた3月下旬は、公民館に惜別のあいさつに訪れる人が相次いだ。

 「山笠がある博多の街で人とのかかわり方や、自らの生き方を教わりました。感謝しかありません」と大島さん。満開間近の桜の花に見送られ、博多に別れを告げた。

(手嶋秀剛)

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