74歳、学生生活集大成の「自分史」 通学片道4時間「完走うれしい」

西日本新聞 ふくおか版 糸山 信

 福岡県うきは市吉井町の大内田初子さん(74)が、北九州市立大の社会人向け特別コース「学問と人生」を修了した。週1回、大学まで片道4時間かけて往復し、現役学生との交流も体験した1年間。授業の集大成としてまとめた「私のための自分史」には、これまで西日本新聞に掲載されたエッセーなどを収めた。また新しい自分史のページが始まる春を笑顔で迎えている。

 大内田さんは東筑高(北九州市)卒業後に就職。仕事や子育てと並行して、本紙の「紅皿」や「こだま」欄への投稿を続けてきた。転機が訪れたのは約3年前。夫の是(すなお)さんが79歳で急逝し、喪失感に包まれていたところ、小学校時代の恩師を通じて同大が2019年度に創設した新しい教育プログラム「i-Designコミュニティカレッジ」を知った。

 「大学に行けばよかったという思いはずっとあったし『1人になった今だからこそ』と決断できた」と大内田さん。同カレッジのコースの中から「学問と人生」を選び学生生活が始まった。朝5時前に家を出て西鉄バスや電車を乗り継ぎ、大学到着は午前9時。四つの講義を受け、帰宅は午後9時前後となり、疲労で下車駅を寝過ごすことも少なくなかった。

 それでも無欠席で1年間続けられたのは、同じコースの仲間や孫ほど年の離れた若者たちとの交流だ。「学問と人生」の受講生は最高齢の大内田さんをはじめとする40代以上の男女7人。講義では毎回2人が約20分間、人生の節目の場面を取り上げて当時の思いを語り、聞く側と講評し合ううちに、「一緒に日帰り旅行を楽しむ」ほどの友情が生まれた。

 一般学生と席を並べた大教室での講義では、教授が学生への課題をスマートフォンのメッセージ機能を使って提出するよう求め、対応に困っていると近くの女子学生が助け舟を出してくれた。「それをきっかけに言葉を交わすようになり、若者からも毎回刺激をもらっていた」と振り返る。

 自分史には「74年の人生、いろいろな出来事は何ひとつ無駄でなかった」「本当にいろんな方々に支えられた人生」などと記した大内田さん。「最初は無謀な挑戦に思えたが、完走できたことがうれしい。年齢や時間を理由に何かを諦める人がいるなら、まずはチャレンジすることを勧めたい」と語った。 (糸山信)

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