コロナ禍、試練の新年度 入社式は時短に検温 宿泊税「時期悪すぎ」

西日本新聞 社会面

 日常とはかけ離れた「試練の春」を迎えた。1日、新型コロナウイルス感染症が猛威を振るう中で新年度が始まった。企業の入社式は中止のほか、検温などの感染防止策を徹底。福岡県と福岡市、北九州市は九州初の宿泊税を導入したが、宿泊客が激減している旅館やホテルの関係者からは苦境を訴える声が相次いだ。九州各地で異例の光景が広がった。

 福岡市内であった西日本シティ銀行の入行式は、新入行員全員に検温やマスク着用を義務付けるなど厳戒態勢が敷かれた。座席の間隔を広げ、式の時間も短縮。関岡奈々さん(22)は「新型コロナで困っている企業の皆さまに融資していくことによって、社会を根底から支えていきたい」と力強く誓った。

 スターフライヤー北九州空港にある航空機の格納庫で入社式を開催。「ウイルス対策のルールをきちんと守れば実施できる」(松石禎己社長)と判断、風通しを良くするため滑走路側の扉を開放するなどした。

 JR九州は例年行っていた福岡市での入社式と北九州市の研修施設間の往復を、感染リスクを減らすため北九州市の施設での式に変更。社歌斉唱は中止し、役員の出席も減らした。

 西日本鉄道が福岡市で開いた入社式は、新入社員116人のうち73人が参加。式後、山中瞳美さん(22)は「(コロナの影響による)内定取り消しもある中で、働けることが当たり前ではないことをかみしめたい」と決意を語った。国際物流部門の43人は、東京の拠点で中継動画を見ながら臨んだ。

 九州電力は入社式を中止し、新入社員に社長のビデオメッセージを送った。

   ◇    ◇ 

 「コロナの混乱のさなかでタイミングが悪すぎる」。福岡県朝倉市の原鶴温泉旅館協同組合の林恭一郎副組合長(45)は沈痛な表情を浮かべた。宿泊客から1泊200円を徴収する宿泊税。客足への影響を懸念する。3月31日には組合に加盟する同県うきは市の老舗旅館の経営破綻が明らかになった。

 北九州市門司区のあるホテルは、ゴールデンウイークの宿泊予約数が昨年より半減した。担当者は「さらにキャンセルが相次いでおり、先行きは見通せない」。同県宗像市の旅館は今週末の予約がゼロ。おかみは「導入を決めた時期とは局面が違う。今からでも延期ができないか」と訴えた。

 熊本空港(熊本県益城町)では1日、民間運営が始まった。国際線は全て運休し、国内線利用も減少。駐車場には空きが目立ち、ロビーは閑散とした。運営会社「熊本国際空港」は記念式典を見送った。

 2019年度の空港利用者は過去最高だった前年度(約340万人)を更新する見通しだったが、この2カ月で一転、不透明に。新原昇平社長は「感染終息や航空需要の復活の予測が難しく、非常に厳しい状況でのスタート」と神妙に話した。 (新型コロナウイルス取材班)

福岡県の天気予報

PR

福岡 アクセスランキング

PR

注目のテーマ