東京で働いていた1995年3月20日朝。満員の地下鉄を降りると…

西日本新聞 社会面 杉野 斗志彦

 東京で働いていた1995年3月20日朝。満員の地下鉄を降りると、駅員が慌ただしく客を誘導している。えたいの知れない恐怖に駆られ、開きっ放しの自動改札を走り抜け、地上に逃げた。事件のことは後で知った。もし10分でも早く地下鉄に乗っていたら被害に遭っていたかも…。そう思うとぞっとした。

 オウム真理教が起こした「地下鉄サリン事件」から25年。事件を風化させまいと「被害者の会」などが続けてきた集会が、新型コロナウイルスの感染拡大を受け中止された。今年を最後にする予定だったというから、関係者の無念はいかばかりかと思う。

 被害者、遺族にとって事件が風化することはないだろうが、四半世紀を経て高齢化は進む。この未曽有のテロの教訓を後世に伝えることは当時を知る者としての責務と思っている。「忘れたら、繰り返されてしまう」。遺族が語ったというこの言葉を改めて胸に刻みたい。(杉野斗志彦)

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