新型コロナ「集団免疫」で沈静化する?英国は数日で方針転換

西日本新聞 総合面 山下 真

 世界各国で感染拡大が進む新型コロナウイルスを巡って、多くの人が免疫を付けて拡大を防ぐ「集団免疫」という考え方がある。英国は一時、イベントや外出の自粛要請などの厳格な封じ込め策を打たず、国民の多くが感染し、免疫を獲得することで収束を目指す方針を掲げた。集団免疫は事態の沈静化に有効なのか。

 長崎大熱帯医学研究所の安田二朗教授(ウイルス学)によると、集団免疫は多くの人がワクチン接種や自然感染によって免疫を付けることでウイルスを封じ込め、新たな感染を防ぐ考え方。集団の多くが感染すれば、感染者の体内につくられた抗体や細胞性免疫が病原体を抑え込むため、感染を広げなくなるという。

 新型コロナウイルスにワクチンはなく、免疫を付けるには、自然感染するしかない。安田教授は「自然に放っておけば、やがて集団免疫を獲得して収束に向かうという考え方はある。だが、それまでに多くの重篤な患者が出て、医療崩壊や社会機能のまひを招きかねない」と指摘する。

 感染拡大が続けば多くの死者が出る懸念がある。集団免疫を獲得する過程で感染者が爆発的に増え、感染が長期化することで、既存のウイルスに対する免疫の効かない変異ウイルスが出現する恐れもあるという。

 英国のジョンソン首相は3月中旬、集団免疫を獲得することで収束を目指すという方針を示した。ところが、事態の悪化を受け、わずか数日で「感染拡大防止」へと方針転換した。

 安田教授は収束に向け、人と人との社会的な距離を保つ行動制限や、人工心肺装置の増産など医療体制の拡充を推奨する。「集団免疫の獲得はただ待つことを基本にする。ワクチンのない現状では得策ではなく、できる限りの対策を積極的に講じていくべきだ」と語った。 (山下真)

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