「友人や先輩」から入手、10代むしばむ大麻…福岡で摘発・補導45人

西日本新聞 社会面 梅沢 平

 大麻に手を染める少年が急増している。福岡県で2019年に大麻取締法違反容疑で摘発、補導された少年は過去最多の45人(前年比20人増)。全国でも13年以降、増加の一途で“大麻汚染”は深刻化している。インターネットなどを通じて海外の大麻合法化の流れを知り、「犯罪」の意識が低下していることが一因とみられる。専門家は「摘発はごく一部にすぎず、友人や先輩など身近な経験者から拡散しているのではないか」とみる。

 「ネットで外国人DJが吸っているのを見て興味を持った」。福岡市内の路上で昨年11月、ポリ袋入りの大麻を所持したとして、現行犯逮捕された男子高校生2人は、こう供述した。違法性の認識は低く、「たまたま手に入ったから使った」と話したという。

 北九州市では2月、大麻を売買したとして、幼なじみの男子高校生2人が逮捕された。

 警察庁統計でも昨年に同法違反容疑で摘発、補導された少年は609人(前年比180人増)と増加傾向で、内訳は仕事をしている少年328人(53%)が最も多く、高校生109人(17%)と続いた。

 県警によると、大麻は地元の先輩と後輩のつながりなど身近な人から入手するケースが大半という。「ねずみ講のように汚染が広がっている」と捜査関係者は話す。

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 海外では大麻を合法化した国もある。13年のウルグアイに続き、カナダは密売組織の撲滅や政府の税収増を狙い、18年10月から大麻の使用を解禁。ただ、より依存性の高い違法薬物に興味を持つ懸念もあり、いずれの国も未成年の使用を禁止している。

 国立精神・神経医療研究センター(東京)が同年に全国の中高生を対象に行った調査では、大麻使用について「少々ならかまわない」「全くかまわない」と答えたのは、中学生1・9%、高校生2・9%。いずれも覚醒剤や危険ドラッグなどほかの薬物を上回った。

 ネット上には大麻を肯定的に紹介するサイトがあり、「依存性がない」とする誤った情報もあふれる。

 高校生の大麻経験者は、非経験者に比べて会員制交流サイト(SNS)や動画の視聴などネットの使用時間が長い傾向にある、との結果も出た。センターの嶋根卓也室長は「ネット情報が大麻使用に影響している可能性がある」と話す。

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 元アイドルグループのメンバーや俳優、プロスノーボーダーら有名人の大麻汚染も止まらず、冒頭の男子高校生のように「ファッションや興味本位」で手を出す少年も少なくない。センターによると、海外の論文では「16歳未満での大麻乱用は、依存症や学習能力低下などの危険性がより高い」と指摘されているという。

 元沖縄少年院法務教官で、「日本こどもみらい支援機構」(沖縄)の武藤杜夫代表は「カナダの合法化が国内の少年に影響を与えているとみられる。有害性は低いという認識が広まっているが、大麻を入り口に別の薬物や、裏社会と関係するきっかけにもなる」と警鐘を鳴らす。

 福岡県は、大麻の危険性を訴える動画を制作し、4月の入学シーズンに合わせて啓発チラシを県内の大学に送った。県警幹部は「入手経路や使用のきっかけなど分析を進めて、対策を強化する」としている。 (梅沢平)

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