抗体検査の導入、休業補償… 安倍首相答弁、コロナ対応に出遅れ感

西日本新聞 川口 安子

 新型コロナウイルス特措法に基づく緊急事態宣言の発令を巡って、衆参本会議で論戦が交わされた。海外では外出を禁じるなど強制措置を取る国が目立つが、日本はどう対応するのか。休業を余儀なくされる分の損失補償は行われるのか。海外で注目される「抗体検査」をやる考えは-。国民の関心の高い質問に答える安倍晋三首相からは、海外に比べて対応に後れを取る日本の状況も見えてきた。

「有用」と評価の一方、研究は開始段階

 英国が導入を決め、中国や韓国では迅速検査キットの一部が承認されるなど、海外で注目される免役の有無を調べる「抗体検査」。医療従事者の感染リスクが軽減できるとして、日本医師会も検査体制の早急な整備を要望している。

 日本の対応は現在、クラスター(感染者集団)対策や国民に対するイベント自粛要請などで「感染のスピードを極力抑え、流行の山を小さくすることを基本方針」(首相)としている。感染状況の把握には、検査時点でのウイルスの保有状況を調べるPCR検査を軸にしている。

 国民民主党の大塚耕平参院議員は3日の参院本会議で、基本方針について「仮に感染抑制に成功して行動制限を解除しても、ワクチンや治療法が確立していなければ、また感染が発生する」と指摘。抗体検査の導入を提案し「PCR検査が陰性で、抗体検査が陽性の人は、安心して外出や労働ができる」と呼び掛けた。

 首相は「PCR検査との同時活用でより精度の高い診断が可能になるなど、検査方法としては有用なもの」と抗体検査を評価した一方で「課題」に言及した。日本国内では、まだ有効性が確認されておらず、研究用としての使用が始まった段階という。首相は「医療現場で広く使えるための方法も含め、その有効性や使用方法など専門家の検討を行っているところだ」と述べるにとどめた。

特措法の強制力 罰則慎重、補償せず

 政府が緊急事態宣言を発令すれば、都道府県知事が外出自粛やイベント会場などの施設の使用制限を要請・指示できる。だが、従わなくても、特措法に罰則はない。

 海外では強制力の高い措置が目立つ。イタリアは移動制限を実施し、違反者には禁錮刑を含む罰則を設ける。フランス・パリも原則外出を禁止し、違反者には罰金がある。ただ、これらの国は制限によって生じた損失の補償など、支援を手厚くする。日本の特措法は外出やイベント開催制限に強制力はないが、補償も規定していない。

 国会議員の中には、強制力を求める声も。日本維新の会の浦野靖人衆院議員は2日の衆院本会議で「特措法では知事の権限と感染防止効果が不十分だ」と指摘し、罰則付きの命令規定を設けて強制力を持たせ、補償を明記するよう法改正を求めた。立憲民主党の逢坂誠二衆院議員は、自粛要請で観光業などが減収しているとして、「法的根拠の有無にかかわらず『減収補填(ほてん)なき要請や宣言はしない』ことを原則とすべきだ」と、補償の充実を訴えた。

 こうした声に首相は「私権制限の範囲を広げることや罰則による強制力を強めることは慎重に検討することが必要だ」と述べ、現時点で法的に強制力を持たせることを否定した。

 補償については「現行法では強制力とのバランスの中で位置づけられている」と、政府による補償が難しいために強制力を持たせられない事情もにじませた。

 「これまでにない規模で前例のない支援を行う」と強調した首相。自粛に対する個別の補償はせず、資金繰り支援や給付金制度など、あくまで全体の経済政策として対応するとした。 (川口安子)

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