ハゼの実搾り木蠟に 伝統の技、今も島原市で脈々

西日本新聞 長崎・佐世保版 真弓 一夫

 ハゼの実から搾り出した油で木蝋(もくろう)を作り、和ろうそくに仕上げる本多木蝋工業所(長崎県島原市有明町大三東(おおみさき))。長年にわたって家内手工業で培われた手法を守り続けている。

 木蝋は江戸期に島原藩の財政を支えた伝統の産業。市内では普賢岳の噴火で失われたハゼ林も少なくない。同工業所は優良品種の「昭和福ハゼ」約300本を守り育て、樹齢100年近い古木は高さ10メートルを超える。「ちぎり子」と呼ばれる専門家がはしごで登って枝先の直径9ミリほどの実を摘み取る。収穫量は年に約4~5トンだ。

 木蝋作りには時間がかかる。機械で砕いた実を高温の蒸気で蒸す。これを棒で突き固めて木臼のくぼみに入れ、半球形の玉石に押し当ててゆっくりと油を搾る。圧搾機は1937(昭和12)年製。化学薬品を使う工業化された抽出法に比べ効率は悪いが、同工業所代表の本多俊一さん(64)は「手間はかかるが、人に優しい」と無添加にこだわる。伝統的な手法を残すのは国内唯一という。

 搾った油からごみなどを取り除き、冷えて固まると木蝋の出来上がり。同工業所で和ろうそくにするほか、びん付け油や化粧品の原料にもされている。「先人の知恵と工夫が詰まった木蝋の文化を伝えていきたい」 (真弓一夫)

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