130周年の鳥栖駅、探検してみた 明治のレールに戦禍の記憶も

西日本新聞 佐賀版 星野 楽

 かつて「鉄道の街」として栄えた佐賀県鳥栖市。その発展は昨年12月に130周年を迎えたJR鳥栖駅(同市京町)と共にあった。九州最古の駅の一つに数えられ、明治期の面影が残る駅舎を観光ボランティアガイドと巡った。

 鳥栖駅は1889年、九州鉄道の博多-千歳川(現・筑後川)駅間の開通とともに誕生した。今の駅舎は構内拡張に伴い1904年に新築移転した2代目で煙突や建物の骨格は当時のままだ。玄関口でボランティアガイドの大石良成さん(69)と落ち合い、改札を抜け、地下通路を通ってホームに上がった。

 普段は気にも留めなかったが、そこにはレール型の支柱がずらりと並んでいた。その1本に「CAMMELLS STEEL W1885」の刻印。英国・キャンメル社、1885年製のレールを意味する。「柱のレールの多くは、駅開業時に使った外国製レールを再利用している」と大石さん。当時のにぎわいが聞こえてきたような気がした。

 駅舎から最も離れた6番ホームのベンチで一息。サッカーJ1サガン鳥栖の本拠地・駅前不動産スタジアムが線路の向こうに見える。大石さんが静かに話した。「スタジアム南側の公園の片隅に『頌(しょう)魂碑』があります」

 太平洋戦争末期の1945年8月11日。駅周辺の軍事工場などが空襲に遭った。駅舎は被害を逃れたが、鉄道職員12人を含む死者は119人。頌魂碑はその慰霊塔だ。戦禍も駅の重要な歴史だ。

 50年代、物資輸送の拠点として最盛期を迎え5千人以上が働いた。大石さんによると「スタジアムの辺りまで線路があった」。上下線36本広さ約46ヘクタールは九州最大規模。辺りに満ちていた車輪や汽笛の音は、サポーターの歓声に代わった。

 駅舎巡りの「シメ」に、鳥栖駅名物「かしわうどん」(360円)をすすった。かしわ(鶏肉)のそぼろが甘めのダシを引き立てる。創業は56年、九州最古の立ち食いうどんだ。店は各ホームにあるが、「6番ホームのうどん」が一番おいしいとうわさを聞いた。女性店員に真相を確かめると、「どこも一緒。単なる思い込みよ」。うどんの謎は解けないままだ。

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 駅構内の地下通路では、130周年を記念した写真展「線路下のギャラリー」を開催。大正期の駅の外観や鳥栖山笠で盛り上がる駅前広場の様子など、約30枚の写真パネルが並ぶ。乗車券か構内入場券(170円)で観覧できる。来年3月末まで。鳥栖観光コンベンション協会=0942(83)8415。 (星野楽)

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美容師夫妻が絵本「駅の歴史語り継ぐ」

 鳥栖市本通町の美容室オーナー松枝善晴さん(45)と妻・加代子さん(37)は、鳥栖駅東側に展示されている「268号機関車」を題材にした絵本「ちびすけふろやんとまっくろスズメ」を2017年に作り、市内の小中学校などで読み聞かせ活動に励んでいる。

 268号は1905年に製造され、昭和10年代から1954年に廃車となるまで駅機関区内を走った。絵本は、「268」をもじった機関車「ふろやん」と、すすで黒くなったスズメ「くろちゅん」の友情や当時の町並みを描いた。同市出身の2人。「駅舎は永久に残るかわからない。市民全体で駅や街の歩みを語り継ぐ必要がある」と述べ、「地元の人が駅の歴史を学ぶきっかけをつくりたい」と前を見据えている。

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