新型コロナ、欧米で流行なぜ マスク習慣なくトランプ氏も「使わぬ」

西日本新聞 田中 伸幸

ハグ、BCG接種歴に差も

 新型コロナウイルスが猛威を振るう中、西日本新聞あなたの特命取材班に質問が届いた。「アジア人よりも欧米人の方が、感染者が多い印象を受ける。何か違いがあるのだろうか」。各国の検査実施状況に違いがあるとはいえ、確かに欧米の感染者数の多さは際立っている。折しも米政府は3日、日本などで使用者が多い外出時のマスクを、米国でも着用するよう推奨すると発表した。感染に地域差があるとすれば、マスクを含め何が要因と考えられるのか。米国で活動する医師たちに聞いた。

 外出時になぜマスクを使わないのかを米国人に尋ねると、こんな答えが返ってくる。「『あの人どうしたんだろう』と不審がられ、目立つから」。インフルエンザの流行期や花粉が飛び交う時期でも、マスク姿を見かけることは少ない。

 新型コロナ対策として米政府は、他人と約1・8メートルの距離を取るよう国民に要請しているものの、マスク着用は「不必要」との立場だった。ところが3月下旬ごろから、感染していても症状がない人や発症前の人が、近くで話している相手に感染させる可能性があることが指摘され始め、一部地域で、住民にマスクやバンダナなどで口や鼻を覆うよう求めるようになった。

 トランプ大統領も3日の記者会見で、医療用ではない布製マスクなどの使用を推奨すると表明。ただ自身は「使わない」と述べた。

 「政府は感染初期の段階から着用を勧めるべきだった」。南部バージニア州で感染を疑う住民からの電話相談に応じる男性医師(45)に、日本などアジアでは浸透する一般市民のマスク着用について尋ねると、こんな批判が返ってきた。

 米国の感染拡大は「政府の初動の遅れ」と断言し、いまだに検査や治療態勢が十分ではないと強調。「マスク着用は、感染拡大を遅らせることができる現時点での数少ない重要な手段だ」と期待を寄せた。

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 アジアと欧米との感染状況に、何らかの要因で「差が生じている可能性は否定できない」と話すのは、医学研究の拠点、米国立衛生研究所(NIH)の博士研究員、峰宗太郎医師(病理学、ウイルス学)だ。

 考えられる要因としてまず指摘したのが「人種の差」。ウイルスの中には「アジア人が感染すると発病するが、白人は発病しにくいといった性質を持つものがある」のだそうだ。

 「市民が受けたワクチンの差」も要因として考えられ、日本や欧州の一部など「結核予防のBCGワクチンを接種している国では症状が軽い、という仮説がある」と紹介した。

 さらに挙げたのが「習慣の差」。あいさつ時によく握手やハグをする欧米人の行動は「感染症を広めやすい」。また、感染が爆発的に拡大したニューヨークなどでは誰が感染しているか分からない状況だけに「マスク着用の有無が影響した可能性もある」と指摘した。

 ただ、各国の感染症対策の差も含め「全て仮説の段階で、現時点で要因として明確に分かっているものはない」のが実情だという。

 一方、日本は欧米より感染が少ない状態とはいえ、楽観はできず「予防行動に加え、長期化をにらんだ精神面での健康管理を重視すべきだ」と付け加えた。 (ワシントン田中伸幸)

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