クラスター早期発見へ 政府と携帯電話大手がタッグ

西日本新聞 総合面 河合 仁志

プライバシーの侵害懸念も

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、政府が携帯電話会社や大手IT企業の統計データを活用する初の試みに乗り出している。利用者の位置情報やインターネットの検索ワードから大衆の流れを把握し、クラスター(感染者集団)の早期発見などにつなげる狙いがある。政府は個人を特定しない形での情報提供に限るとするが、プライバシーの侵害を懸念する声もある。

 内閣官房や総務省、厚生労働省などが3月末、感染拡大防止策の一環で各企業に要請した。対象はNTTドコモなどが加盟する電気通信事業者協会と、グーグルアップルなど「GAFA」と呼ばれる米IT大手4社とヤフー、楽天。ヤフーは3日、利用者データの分析結果の提供に協力すると発表している。

 政府は、協力を申し出た企業と協定を締結し、企業側が作成した統計データの提供を受ける。データの基になるのは、位置情報やワード検索、サービスの利用履歴で、形式は企業側の裁量に委ねられる。これにより政府は、外出自粛要請やクラスター対策の実効性の検証などが可能になるとしている。

 今回の要請やデータ提供に法的根拠はなく「協力のお願い」(加藤勝信厚労相)にすぎない。日本では法令上、「本人が特定される形で(提供データを)使うことは難しい」(高市早苗総務相)ため、海外で実施されている感染者の行動把握などは想定していないという。

 ただ、少人数のエリアに関する統計データは、他の情報と組み合わせることで個人の特定につながる可能性もある。個人情報保護に詳しい日本情報経済社会推進協会の坂下哲也常務理事は「事業者は(個人が特定される)リスクを分析した上で内容の是非を判断し、提供内容を利用者に伝えることが必要だ。政府も提供を受けた事業者を公表すべきだ」と話す。 (河合仁志)

PR

社会 アクセスランキング

PR

注目のテーマ