沖縄から消えた観光客 2-5月、前年から半減 損失1867億円

西日本新聞 総合面 高田 佳典

 新型コロナウイルスの感染拡大による観光客の減少が、これまで右肩上がりだった沖縄県の経済に大打撃を与えている。県が3日に公表した試算によると、今年2~5月の観光客数は約167万人減と前年同期の半分、経済損失も約1867億円に上る。観光客が急減した2011年の東日本大震災や01年9月の米国同時多発テロ当時をはるかに上回る衝撃に、県幹部は「未曽有の危機」と険しい。

 4日午後、那覇市中心部の繁華街、国際通り。普段なら両脇の歩道を埋めるように歩いていた中国人や韓国人の観光客はおらず、日本人観光客すらわずかに見掛ける程度。土産物店の女性従業員は「外国人観光客の売り上げはほぼゼロ。遠くまで見通せるほど人が少ない国際通りは初めて見た」と肩を落とす。

 県によると、19年3月末に週213便だった県内空港の国際線はゼロに。クルーズ船の寄港もなくなった。沖縄を訪れた観光客数は昨年初めて1千万人を超えるなど7年連続で過去最高を更新してきたが、「そんなことを言っている場合じゃない」(観光関係者)。

 過去に観光客、観光収入が大きく減ったのは、1975年の沖縄海洋博開催後と01年9月の米国同時多発テロ後、11年3月の東日本大震災後の3回。東日本大震災当時の減少幅は今回の2~3割程度だった。ダメージの大きさが分かる。

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 沖縄にとって観光は主要産業だ。「経済活動が瞬時に蒸発した。長年、経済調査に携わってきたが、つるべ落としのように急激に低下したのは見たことがない」。日本銀行那覇支店の桑原康二支店長は1日の記者会見でそう語った。

 同日発表した企業短期経済観測調査(短観)によると、業況が「良い」から「悪い」とした企業の割合を引いた業況判断指数(DI)は全産業で前回調査より大幅に悪化。12年3月調査以来8年ぶりのマイナスとなり、低下幅は沖縄海洋博開催後の1975年11月調査以来、44年1四半期ぶりの大きさだった。

 離島の石垣市と宮古島市。外国人だけでなく、日本人の団体や修学旅行がキャンセルになる中、「南の島は安全」といった会員制交流サイト(SNS)の投稿が広まり、2、3月は海外旅行を断念した大学生や若者が多く訪れた。感染症病床が3床しかなく医療崩壊を懸念した両市長が記者会見し、来島の自粛を呼び掛けたほどだった。

 志村けんさんが亡くなったことや、大都市圏の感染者増加を受け、両市とも客足がパタリと止まった。石垣市観光交流協会と宮古島観光協会によると、宿泊予約が前年比の3割程度にまで落ち込むホテルもある。石垣市観光交流協会の西仲野正巳事務局長は「観光で成り立つ離島にとって死活問題。観光客には来てほしいような来てほしくないような…。痛しかゆしですね」と頭を抱える。 (高田佳典)

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