持続可能な組織にするには 浅川哲郎氏

西日本新聞 オピニオン面

◆日本版CDC

 新型コロナウイルス感染拡大の影響が世界的に広まっている中、医療システムで注目を集めているのが米疾病対策センター(CDC)である。今回の新型コロナウイルスに関して有名になったが、対象としているのは感染症の分析だけではない。病気の発生源も米国内外を問わない。特にCDCは情報提供において高く評価されている。

 日本版CDCに関しては日本医師会も創設を要望している。創設される場合、提供する情報の質を高めなければならない。説明責任を果たすためにも情報の多角的な検討は必要だろう。感染症では医師に加え獣医師等の専門家も含めるのは普通であるが、それ以外にも患者やその家族、地域社会にとって必要な情報は何かを検討すべきである。

 コスト面についても考えてみよう。米国では今年、大統領選挙が行われる。今回はオバマ前大統領によって方向づけられた国民皆保険制度(オバマケア)をどうするかが、大きな争点のようだ。この数年、米国では皆保険実現のため医療費を低く抑える必要性から、診療報酬制度の改訂など多くの努力がなされている。その中の一つがアカウンタブル・ケア・オルガニゼーションといわれる医療者の協働組織である。これは日常的な食事制限など健康管理に重点を置くことで、疾病の早期発見と低コストの治療を目指すものである。今後は医療技術の高度化が期待されるとともに、健康保険の財務リスクも高まると予想される。

 これを参考に日本版CDCを構築する場合、効果の如何(いかん)に加えて、効率的かどうかも持続可能な組織設計上、考慮されるべきだろう。感染症対策に絞って指摘するが、注意する点を2点挙げておきたい。まず、重大な感染症は常時発生するというわけではなく、何年かに1度、大規模に発生することが多い。従って、固定的かつ大規模な組織を保有・運営するというのではコスト的に効率的ではなかろう。大学医学部のような研究機関や拠点病院をつないだ、ネットワーク型の組織が望ましいと考えられる。重要なのは情報交換の項目(インターフェース)を適切に設計することである。次に感染症の特徴としては人から人の感染だけではなく、動物も仲介して感染が広まることにある。獣医師も含めた仕組みを構築することも肝要と考えられる。

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 浅川 哲郎(あさかわ・てつろう)九州産業大大学院経済・ビジネス研究科教授 1963年生まれ、福岡県朝倉市出身。コロンビア大経営大学院修了、九州大博士(経済学)、一橋大博士(経営法)。専門は医療システム論および租税法。

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