危険ブロック塀撤去に助成格差 地震経験の福岡・熊本高く、佐賀は0%

西日本新聞 一面 御厨 尚陽

 震災時に倒壊の恐れがある危険なブロック塀の撤去費用を巡り、補助制度の整備に自治体間で差が生じている。国土交通省の調査では、全国の市区町村の50%が整備済み。九州7県では、熊本地震や福岡沖地震で死者が出た熊本や福岡など3県の整備率が全国平均を大きく上回る一方、佐賀県は未整備で、長崎と鹿児島は2割に満たない。専門家は「地震はどこでも起きる可能性があり、各地で取り組むべきだ」と強調する。

 2005年の福岡沖地震では、福岡市の女性=当時(75)=がブロック塀の下敷きになり死亡。16年の熊本地震でも熊本県益城町で男性=同(29)=が死亡、女性1人が重傷を負った。18年の大阪府北部地震では大阪府高槻市の小学校の塀が倒れて登校中の女児=同(9)=が犠牲になったほか、大阪市でも男性=同(80)=が死亡した。

 自治体は高さ2・2メートルを超すブロック塀の所有者らに撤去を呼び掛けるが、1メートル当たり1万~2万円かかる費用がネック。大阪府北部地震を受けて国交省は19年、道路や通学路に面した塀の撤去費を補助する市区町村への支援制度を創設した。

 一方、同省の昨年10月時点の集計では、九州7県の各自治体の補助制度の整備率は福岡100%▽大分94%▽熊本82%▽宮崎46%▽長崎14%▽鹿児島7%。佐賀県では、撤去費用を補助している市町はなかった。

 福岡、熊本、大分各県は18年度、県から市町村への助成も始めた。各県の担当者は「被災経験があり、市町村の問題意識は高い」という。佐賀県は補助を求める住民の声を受け、20年度から市町への助成を始める方針。鹿児島県は「住民に身近な市町村で取り組むべきだ」との立場で、県の助成は検討していない。

 東北工業大の最知正芳特命教授(建築生産工学)は「地震で倒れた塀の多くは施工不良が原因。外見からは判断が難しく、被害を防ぐには塀を低くするか、撤去するしかない」と指摘。「規模が大きければ撤去費用は100万円を超えることもあり、所有者は尻込みしてしまう。自治体が支援して背中を押してほしい」と話す。 (御厨尚陽)

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