聖火で復興発信、来年こそ 「新阿蘇大橋走る姿を」祖母も期待

西日本新聞 社会面 壇 知里

 世界的な新型コロナウイルス感染症の拡大で、東京オリンピック・パラリンピックが来夏に延期され、聖火リレーも先送りされた。熊本県南阿蘇村の中学2年宮田鉄平さん(13)は、2016年4月に発生した熊本地震の本震で崩落した阿蘇大橋近くを走る予定だった。「村の復興を多くの人に知ってほしかった」と残念がる宮田さんだが、応募を勧めた祖母の後藤美和子さん(67)は「新しい阿蘇大橋を走れるかもしれないよ」と励ましている。

 宮田さんは村立南阿蘇中で陸上部に所属し、短距離走で県内トップクラスだ。走るのが大好きで「思い出づくりに」と応募し、県の公募ランナーに選ばれた。後藤さんが応募を後押ししたのは「地震で変わり果てた村の景色を、記憶に刻んでおいてほしい」との思いからだった。

 村では、家屋の倒壊などで31人(関連死を含む)が犠牲になった。全長206メートルの大橋が崩落するなど、交通インフラも大打撃を受けた。一方、宮田さん自身は自宅の窓が割れる程度で済み、親しい友人も無事だった。後藤さんは「被害が比較的小さかったからこそ、地震についてしっかり考える機会を持ってほしかった」と語る。

 宮田さんは応募動機に、被災した小学4年のときに1週間避難した南阿蘇中体育館での体験を書いた。支援物資や食事を配るボランティアをした際、自宅が全壊した人も避難所で体調を崩した人も、つらいはずなのに必ず笑顔で「ありがとう」と言ってくれたことが忘れられない-と。

 聖火リレーを走る5月7日が近づき、地震のことを考える時間が増えてきたとき、五輪の延期が決まった。現時点でランナーの変更はなさそうだが、宮田さんは「早くおばあちゃんに(走る姿を)見てほしかった」と残念がる。ただ、後藤さんには新たな楽しみができたという。

 地震から4年。新しい阿蘇大橋の建設が、20年度開通を目指して着々と進む。大橋が聖火リレーのルートに入る期待を込め、「鉄平が聖火を掲げ、完成した橋を走る姿を見られるかもしれない」。そして、復興が進む村の姿を全国の人に知ってほしい。そう願っている。(壇知里)

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