「このままではつぶれる」営業か自粛か…困惑する店舗

西日本新聞 社会面

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、初の緊急事態宣言が出された福岡県。県からの要請を想定して既に休業に踏み切った飲食店などが増える中、7日夜の県知事会見では休業要請の対象施設は具体的に示されなかった。「うちは営業できるのか」「休業は仕方がない」-。歓楽街や娯楽施設の経営者や利用客からは、戸惑う声が相次いだ。

■歓楽街、商店街

 7日夜、福岡・天神。通常なら名物の屋台が軒を連ねるが、その多くが姿を消していた。父親の代から約40年間営業する男性経営者(53)も同日から休業。「こんなことは初めてだ」とため息を漏らした。今月に入って来店したのは常連客数人。「屋台文化を守るためにも、早く活気が戻ってほしい」と願う。

 九州最大の歓楽街・中洲でも臨時休業の張り紙が目立つ。古くからの飲食店が並ぶ「人形小路」で開店準備中だった田口隆洋さん(72)は「収入は8割減。ただ休業すればゼロになってしまうのでお客さんが来てくれる限りは営業したい」。

 中洲で25年以上働くスナック「ラピス」の田中真子さん(52)は県知事の外出自粛要請を受け、4日から休業する。無収入のまま家賃などの支払いが続くため「このままでは3カ月でつぶれてしまう」と切実だ。周囲では閉店を選ぶ経営者もいるといい、休業中の別のスナック経営者は「従業員の生活が心配。政府はしっかり補償を」と訴える。

 天神の新天町商店街商業協同組合は8日に理事会を開き、今後の対応を協議する。すでに多くの店が営業時間短縮に踏み切る中、大型連休明けまでの外出自粛要請は大きな痛手だ。当面は営業を続けるという衣料品店の男性店主は「ずるずると感染が拡大するよりも、この1カ月間を我慢して収束のめどを立ててほしい」と語った。

■パチンコ、カラオケ

 福岡市中央区のパチンコ店は、今後の対応についてまだ何も決めていないという。客足は半減しており、男性従業員は「営業しても赤字だろうし、休業は仕方ない。ただ従業員にも生活があるので、休業が長引かないか心配だ」。常連客の男性(73)も「自宅にずっといると気がめいる。休業すれば行き場がなくなる」と困った様子だった。

 県内でゲームセンターを2店運営する「セガ エンタテインメント」(東京都)は「スタッフや利用客の安全が第一なので県から要請が出れば営業を自粛したい」(広報担当者)。

 福岡、熊本、長崎県内でカラオケ店を展開する福岡市の会社は7日から全店舗を休業にした。

■映画館

 KBCシネマ(福岡市中央区)は5月6日までの休館を決めた。支配人の宮定貴子さんは「1カ月間休むことで忘れられないか心配」と危惧する。毎週利用する福岡市東区の女性(68)は「残念だけど今の状況なら仕方ない」。太宰府市の女性(70)は「劇場は感染防止対策をしっかりしていただけに、昼間だけでも営業してほしかった」と不満を漏らした。

■ゴルフ練習場、教習所

 「ドライビングスペース 青葉ゴルフ」(福岡市東区)は県から休業要請がない限り、営業を続ける方針。「練習場はほぼ屋外で風通しが良い。数少ないストレス発散の場にもなっているので営業継続の要望も多い」と男性支配人。常連客の福岡県久山町の国崎英機さん(79)は「ほかに趣味もなく、ここで運動不足を解消している。他の客とも距離があり、営業は問題ないのではないか」と話す。

 南福岡自動車学校(同県大野城市)では、短期間で免許を取れるプランの申し込みが、大学の休校などの影響で昨年より増加。担当者は「行政からの指示が何も下りてきていない。対応はこれから」と答えた。

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