ホッとできてハッとする。癒しと気づきを得られるエッセイ集。

西日本新聞

 心情描写の細やかさが読者から高い支持を得ている森沢作品。『津軽百年食堂』『夏美のホタル』『虹の岬の喫茶店』『きらきら眼鏡』『あなたへ』など数々の作品が映画化やドラマ化されている。『森沢カフェ』は森沢明夫の人となりを知ることのできる一冊だ。本書は、月刊『潮』に2017年1月号~2019年12月号で連載された「小さな幸せ探検隊」に加筆修正したもの。作者が日々の生活の中で見つけた70種以上の「小さな幸せ」を、2~3ページの短編にまとめ紹介している。日常に「ホッするような時間」を提供できたら――、そんな思いから、単行本のタイトルは『森沢カフェ』となったそうだ。

 内容はどこまでも明るく前向きである。上機嫌、幸せ、大好き、おいしい、といったポジティブな言葉が目立つが、どれも押し付けがましくなく、本の向こう側に満面の笑みを浮かべた作者を感じられるから不思議である。読者は1編読むごとに自然と口角が上がり、表情が和らぐのを感じられるだろう。腹の立つ人と出会ったらその人を脳内の「面白人間図鑑」に加えたり、さまざまなアレンジの卵かけご飯を作ってみたりする作者の姿に思わずほっこり癒やされる。

 語りの中にはハッとさせられる表現も頻出する。「幸せのハードルって、高く設定してそれを「越える」となると大変ですけど、低く設定することは誰にでもできます。べつに病気や怪我をしなくても、いますぐにできるんですよね」「あたりまえにあるモノほど失うと困るのに、普段のぼくらは、そのありがたみを感じていない」などである。こうした表現は、本書と出会うタイミングや読む時間帯によっても響く箇所が違ってくることだろう。

 何気なく過ごしている毎日の生活の中には、実はたくさんの小さな幸せが隠れていて、その幸せに気づけたら人生はもっと楽しくなる。そのヒントがぎっしり詰まった味わい深い作品である。通勤通学の電車内、仕事の休憩中、寝る前などに少しずつ読むのもよし、とっておきのコーヒーを片手にゆっくりと読むのもよし。至極の読書タイムを味わえること間違いなしだ。

 

出版社:潮出版社
書名:森沢カフェ
著者名:森沢明夫
定価(税込):858円
税別価格:780円
リンク先:https://www.usio.co.jp/books/ushio_bunko/20523

西日本新聞 読書案内編集部

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