日本史の見方が変わるかも!? あの英雄たちの意外で「危ない」一面

西日本新聞

 仕事はできるが人望がない。自分本位で相手の気持ちを推し量ることができない。あなたの職場にもそんな上司や同僚はいないだろうか? もし思い当たる人物がいるようなら、あだ名は「三成(みつなり)」をおすすめしたい。なぜなら、あの戦国武将の石田三成もそんな人物だったらしいから。

 NHK BSプレミアムで人気を博した『偉人たちの健康診断』をきっかけに書かれた本書。とはいえ番組の知識は不要だ。健康がテーマでもない。出演者であり、歴史学者である著者が、歴史上の人物たちの生涯をたどりつつ、それぞれの意外な一面や歴史的事件の真相に迫った一冊である。

 登場するのは、武田信玄、織田信長などの戦国武将、そして坂本龍馬ら幕末の志士たちの合計9人。それぞれの人物に詳しくなくても、先の石田三成のように現代の人間に置き換えて紹介してくれるので、身近に感じることができるだろう。本の趣旨からは外れるが、上司や同僚として一緒に働くところを想像しながら読んでも面白い。

 個人的にもっとも上司にしたくない人物は織田信長だ。その革新性は確かに魅力的だし、本書で初めて知った茶道具ブームを起こした発想力や、能力があれば家柄を問わず抜擢する大胆な人材登用にも惹かれる。だがキレたときのサイコパスぶりの度が過ぎる。おっちょこちょいの自分では到底無理だろう。

 その信長の部下であり、手紙で「ハゲネズミ」と呼ばれていたのが豊臣秀吉だ。何となく信長よりは親しみやすそうだが油断は禁物だ。ゴマすりで、出世のためならプライドも捨てる。著者は「バカを平気で演じられる知性」と言うが、同期ならイライラするに違いない。天下統一後はそれまで隠していた陰湿さを露骨にみせるようになったというから、上司としても面倒だ。

 日本初の株式会社を創業し、経営者に人気の高い坂本龍馬だってどうだか。恋人の容姿について書かれた手紙なんてひどい。以前、教科書から龍馬の名前が消えるかもしれないと話題になったが、当時週刊誌とSNSが存在していれば、歴史そのものから抹消されていただろう。

 以上、歴史上の偉人たちをいささか矮小化しすぎたかもしれない。しかし彼らだって人間だ。それに著者も言うように、リアルな姿を知れば知るほど、歴史をより立体的に感じることができる。教科書には載らない「危ない」エピソード満載の本書には、そんな歴史の楽しみが詰まっている。

 

出版社:講談社
書名:危ない日本史
著者名:本郷 和人・NHK「偉人たちの健康診断」取材班
定価(税込):946円
税別価格:860円
リンク先:http://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000337895

西日本新聞 読書案内編集部

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