リーダーの言葉「思いこもっていない」 緊急事態宣言どう聞いた?

 世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス感染症への国民の危機意識を高めようと、リーダーが発したメッセージは一人一人の心に響いたのか-。緊急事態宣言に伴い、安倍晋三首相や小川洋知事らが記者会見に臨んでから一夜明けた8日、福岡県筑豊地区の10人に尋ねたところ、一定の危機感が共有されてはいたが、影響を受けた人は少なかった。

 警戒度を5段階で聞くと、田川市の小学校で校長を務める男性は、7日の政府による緊急事態宣言をきっかけに、4から最大の5に上がったという。同日夜、小池百合子東京都知事が記者会見に臨み「大切な人を守るため、社会を守るため」と強調しながら外出自粛などを呼び掛ける姿に共感。外出自粛が求められる中、若者の行動をきっかけにクラスター(感染者集団)が発生したのを苦々しく思っており「社会全体が意識を強めてほしい」と感じていたからだ。

 嘉麻市の事務職女性(32)もテレビで安倍首相の会見を見て「自分の行動が他人の命を守ることにつながる。よりシビアに考えた方がいい」と受け止めた。ただ、自身の警戒度は宣言後も3から変えなかった。「やっぱり身近に感染者がいないから」

 安倍首相や小川知事が記者会見で発した言葉に物足りなさを感じる市民は多かった。「2人とも自分の言葉でメッセージを出しておらず、思いがこもっていない」。飯塚市の自営業男性(49)は不信を募らせる。

 同市の会社員男性(33)は「安倍首相の話し方はいつも中途半端。もっとガツンと言った方がいいと思う」と注文。ほかにも「外出自粛で自分の時間が増える。これを前向きに捉えさせるような言葉が聞けてもよかった」との声もあった。

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 市民が新型コロナウイルス感染症への警戒度を高めたきっかけは何だったのか。飯塚市の会社員女性(45)が、緊急事態宣言の数日前に警戒度を3から4・5に引き上げたのは、宣言に向け職場でテレワークの準備が始まったのが大きなきっかけだった。社内で感染者が出たときのため、取引先との面会などの行動歴をLINE(ライン)で報告し合うことも決まり、「仕事への影響が出て現実味が強まった」と話した。

 身近な出来事が警戒度上昇の引き金になったケースはほかにも。飯塚市の男子大学生(21)も、宣言を受けて研究室の会議がオンライン方式に変わると知らされ「これまではテレビの中のことのように捉えていたが、気を付ける必要性を感じた」。この時点で警戒度を3から4に1段上げた。

 筑豊地区では3月24日に飯塚市で感染者2人が出てから、それ以上の広がりは確認されておらず、拡大が続く福岡・北九州両市とは状況が違う。だが田川市のパート従業員男性(70)は刻一刻と近づくウイルスの足音を聞くように行動の自粛を強めてきた。

 「マスクの品切れが起き始めたときに警戒度2。感染者が県内で出たり、飯塚市で出たりするごとに段階を上げた。同い年で憧れの人だった志村けんさんが亡くなったのも大きい。人ごとじゃないなと」。今年は、大分県まで出掛ける彼岸の墓参りをやめた。現在の警戒度は4で、外出中は手で顔を触らない。「5にしないのは田川市で出ていないから。市役所が毎日流していた『市内の感染確認なし』という防災無線を聞いては安心していた」

 男性が強調したのは「誰かのメッセージよりは具体的なデータの方が緊張感に直結する」ということ。政府にとって現時点でできる最大限の警戒呼び掛けといえる緊急事態宣言を重視しなかったという。 (坂本公司、田中早紀、長美咲、丸田みずほ、福田直正)

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