緊急事態宣言、福岡の都心閑散 「テレワークできない」ランチ難民も

西日本新聞 社会面

 緊急事態宣言から一夜明けた8日、対象となった福岡県でも不要不急の外出自粛が本格化し、街の風景は一変した。閑散とした160万人都市、福岡市の各地を歩いた。

大通りは人まばら

 午前8時半~同11時すぎ 九州最大の繁華街の福岡市・天神。いつもは通勤・通学客でごった返すが、行き交う人はまばら。どの人もマスクを着用していた。真新しいスーツに身を包んだ新入社員の女性(22)は「職場の勤務時間が短縮し、土日も休み。限られた時間で仕事を覚えないといけないので大変です」と不安げな様子。

 西鉄福岡(天神)駅に到着した上り電車もいつもよりすいていた。50代の男性会社員は「テレワークができない人はいっぱいいる。緊急事態宣言が出ても何も変わらないですよ」と足早に職場へ向かった。

 「今日は休みなのね」。70代女性は、シャッターが閉まった博多大丸の前に座り込んだ。その後も臨時休業を知らずに来店した人たちが張り紙を見て、きびすを返した。

転入で臨時待合所

 正午すぎ 昼時なのに天神の大通りや地下街も寂しい状況。「臨時休業」の張り紙を出す飲食店が目立ち、店を探し求める“ランチ難民”の姿もあった。

 「コロナウイルス対策のため、テーブル使用を控えています」。市中心部のファミリーレストランでは、利用できるテーブルと利用できないテーブルを交互に配置。他店が相次いで休業する中、店員の一人は「うちも休めば良いのに」と本音をぽろり。

 春は引っ越しシーズン。中央区役所には転入手続きのため、多くの人が訪れていた。感染リスクを抑えるため、6日には玄関前に臨時待合所を設置。呼び出しや待ち時間などはスマートフォンで確認できるといい、「待ち時間を安心して過ごしてもらいたい」(同区役所)。

公園で気分転換も

 午後2時~同5時ごろ JR博多駅ビルの博多阪急前には「全館休業」を知らせる大型モニター。駅前は人通りが少なく、大型ビジョンから流れるCM音がむなしく響いた。

 一方、市民の憩いの場である大濠公園(福岡市中央区)では、老若男女が散歩やジョギングを楽しんでいた。会社員挟間芳(かおり)さん(34)は、長女のくるみちゃん(生後11カ月)と日課の散歩へ。「コロナが流行してから公園を訪れる人が増えた気がする。ここが一番安全だし、気分転換になります」と笑顔。

 周辺の店で休業が相次ぐ中、春吉のあるラーメン店はいつも通り営業。「お上から『閉めろ』と言われたら休むよ」。客はごく少数。店主は出入り口の椅子に陣取り、笑ってアコースティックギターをかき鳴らした。

 同7時ごろ 天神の大通りに並ぶ屋台街も営業しているのは数軒のみ。男性店主(50)は「今週いっぱいは様子を見ようと思っている」。家路を急ぐ人が多い中、20代女性は友人と2人で焼き肉店に入店。「コロナは気になるけど、どうしても肉が食べたかった」とにやり。

 同8時ごろ 九州最大の歓楽街・中洲。店は軒並み休業し、通りにも客の姿はほとんどない。客引きの40代男性は「契約する店で営業しているのは1割程度。こんなに人がいない中洲は見たことがない」と嘆いた。

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