バイデン氏にコロナ逆風 トランプ氏連日会見 ネット集会や提言埋没

西日本新聞 国際面 田中 伸幸

 【ワシントン田中伸幸】米大統領選の民主党候補指名獲得が確実となったバイデン前副大統領だが、存在感の発揮に苦慮している。新型コロナウイルスが猛威を振るう中、“仮想大統領”として対策を訴えるものの、再選を目指し連日、記者会見して指導力をアピールするトランプ大統領を前に埋没しているのが実情だ。非常事態に対処するトランプ氏を激しく批判すれば世論の反発を招きかねず、6日には異例の電話会談で意見交換して政策提言するなど、腐心の日々が続く。

 バイデン氏は候補指名争いでサンダース上院議員に大差をつけており、既に11月の大統領選本選に向け準備を進めている。目下の悩みは露出不足だ。

 本選ではトランプ氏のコロナ対応の是非が最大の争点となるのが必至で、既に初動の遅れなどを批判しているとはいえ、感染拡大阻止のため大規模集会は開けず、発信力は限定的。外出自粛中の自宅にスタジオを設置しネット集会を開いたり、取材に応じたりしているものの、連日1~2時間の会見が全米に生中継されるトランプ氏に対し、明らかにインパクトを欠いている。

 しかも、トランプ氏を批判することで、保守系メディアなどから「文句ばかり言って、コロナ問題を政争の具にしている」などと逆に攻撃されてもいる。

 このため最近は「トランプ氏は失政を犯した」といった厳しい批判は陣営などに委ね、自身は冷静に「私が大統領なら、より大規模な経済対策を講じる」「医師の意見を踏まえて医療態勢強化を急ぐ」などの提言を重視。6日にはトランプ氏に電話会談を呼び掛けコロナ対策を直接提言し、トランプ氏は会見で「彼は考えを示し私も理解した。友好的だった」と評価した。

 ただ、提言型の発信でリーダーとしての力量を示し、トランプ氏を間接的に批判する戦略といえるが、迫力不足は否めない。一方、本選まで半年以上あり、コロナの感染拡大や景気悪化の行方が全く読めない中「国民は今、大統領批判を望んでおらず、当面は静かな対応が得策。そうすれば課題の失言も防げる」(米メディア)との見方もある。

 トランプ氏はコロナ対応を受け支持率が上がりかけている半面、中西部の激戦州ではバイデン氏有利の世論調査結果もあるなど、伸び悩んでいるのも事実。77歳と高齢のバイデン氏は健康管理に気を配りながら、攻撃モードに転じる機会をうかがうとみられる。

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