政府の経済対策 必要な支援を早く確実に

西日本新聞 オピニオン面

 日本経済は戦後最悪の危機に立っている。原因である新型コロナウイルス感染拡大の影響を最小限に食い止めようと、政府は緊急経済対策を決定した。

 これに並行して政府は東京や福岡など7都府県を対象に緊急事態宣言を出した。今後、外出やイベント、企業活動の自粛が本格化する。国内経済が一段と落ち込むことは確実だ。

 この局面の経済対策は弱者が最優先だ。収入減に直面する中小の事業者や個人事業主、日々の生活に困る世帯に、必要な支援が早く確実に届くよう、国と自治体は全力を挙げてほしい。

 緊急経済対策の108兆2千億円という事業規模は過去最大となる。安倍晋三首相は7日の記者会見で「雇用と生活を守り抜くため、国内総生産(GDP)の2割に当たる世界でも最大級の対策」とアピールした。

 ただこの事業規模は額面通りには受け取れない。昨年末まとめた総合経済対策や発表済みの緊急対応策との合算となっており、新たな対策だけだと86兆4千億円だ。その中にも、税金と社会保険料の納付猶予分26兆円や資金繰り対策といった「見せ金」的な面のある施策があり、総額を膨らませている。

 事業規模の大きさで市場や世論にインパクトを与えることを全否定はしないが、やはり中身が重要だ。政府は事態収束後の「経済のV字回復」に向けた対策も盛り込んでいるが、まだ早い。目先の展望が開けない現状だけに、雇用や生活の基盤を守るセーフティーネットの強化を何よりも急ぎたい。

 その意味で、事業継続や生活維持のための現金給付に6兆円超を充てるのは注目に値する。収入が半分以下に落ち込んだ中堅・中小企業に最大200万円、個人事業主には最大100万円、困窮する世帯ごとに30万円を給付するという。

 30万円給付は収入が住民税非課税水準以下まで減った世帯などが対象で、政府は約1300万世帯への給付を見込む。しかしこの基準で、いま困窮する人々を十分に支えられるのだろうか。与党にも疑問の声がある。税金を使った給付であり、対象に条件を設けるのはやむなしとしても、目的を見失ってはならない。補正予算案を審議する国会で議論してほしい。

 さらに注文したいのは手続きの簡素化だ。政府は、本人が直接、市町村の窓口に申請する方法で時間短縮を図るとしているが、一日でも早く給付されるよう工夫してほしい。

 今回のパンデミック(世界的大流行)は長期戦が必至の状況だ。経済対策に漏れや追加すべき施策はないか。政府は不断の点検と検討を行うべきだ。

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