闘病しながら両親の介護・・・50歳記者、葛藤の日々つづる

西日本新聞 くらし面 三宅 大介

 徐々に体が思い通り動かなくなるパーキンソン病を発症しながら、両親の介護に奮闘した日々をつづった中日・東京新聞社生活部記者、三浦耕喜さん(50)=名古屋市=の著書「わけあり記者の両親ダブル介護」(春陽堂書店)が出版された。介護に伴う転勤、自身の闘病…。さまざまな葛藤をのみ込みつつ、努めて冷静に、そして温かく。老いゆく父母に向き合う姿に、ほろりとさせられる。

 本書の中で、三浦さんは介護や闘病、障害など「生きていく上でハンディのある人」を「わけあり人材」と称し、こう呼び掛けている。「負けるな。そして、胸を張れ」-。

 ベルリン特派員や政治部官邸キャップを歴任。一時体調を崩し、生活部に異動後、両親のダブル介護が本格化した。

 足腰を弱った父を実家で「老老介護」していた母は認知症が進行。当初は東京からの遠距離介護、その後は実家近くに転属を申し出て異動し、妻や弟とともに見守ったものの、ついに在宅では限界を感じ、やむなく父母には施設に入ってもらう。その後は、自宅から車で約1時間掛けて見舞い、世話する日々を送った。

 本書は、こうした日常に回想エピソードを交え、2016年2月~19年6月、新聞連載した計65回分に加筆し、まとめたものだ。

 父母が在宅時代、それぞれ自身の体調の変化におびえるかのように衝突を繰り返し、家の中が殺伐としていったこと。ただ施設に入った後、父は一時入院した母とのたまの面会時に、その手を握って涙していたこと。花見が好きだった母は、自分が今どこにいるかさえ分からなくなっても、病室で1輪の桜を握らせると、少しほほえんだこと。そんな母にもう一度名前で呼んでほしくて「お母さん、耕喜ですよ」と何度も呼び掛けてみたこと…。

 夫と妻。また親と子。家族間の介護は身内だからこそ、互いの「甘え」が時に感情的な対立に変わり、ぎくしゃくしがちだ。自身の難病も徐々に進み、書く文字が震えたり、立ち上がったり歩いたりするのにも苦労するようになった三浦さん。それでも、終わりが見えにくい介護暮らしの中で「ささやかな喜びを意識して探していた」という。

 「誰もが介護の当事者になる時代。さまざまなわけありを抱えて日々戦い、倒れ、また立ち上がろうとする人々はますます増えていく。本書につづった思いが、介護の苦労や不安を1グラムでも軽くできたら」

 四六判、1980円。 (編集委員・三宅大介)

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