阿蘇中岳「噴火活動落ち着きつつある」 京大火山研・大倉教授が見解

西日本新聞 熊本版 佐藤 倫之

 阿蘇中岳第1火口(熊本県阿蘇市)で昨年4月、噴火活動が活発化してやがて丸1年。現地観測を続ける京都大火山研究センターの大倉敬宏教授は「一連の噴火活動は低調に推移し、落ち着きつつある」との見解を示した。噴火警戒レベルは昨年4月14日から、レベル2(火口から半径1キロ内の立ち入り規制)に引き上げられ、規制緩和が焦点となっているが「判断にはもう少し動向を見守る必要がある」と、慎重な対応を求めた。

 大倉教授によると、一連の噴火活動は昨年4月16日から始まった。降灰を伴う小規模噴火が断続的に続き、当初は主に水蒸気やガスを噴出していたが、同7月末からは黒っぽい噴煙が目立ち、降灰からはガラス成分も検出されるようになった。これはマグマの直接関与を意味する。

 噴火予測の鍵を握るのは、草千里直下約6キロにあるマグマだまり(半径1~2キロ)の動向。大倉教授らは草千里を挟む2地点間(7・5キロ)の距離を全地球測位システム(GPS)などを使い、マグマだまりの膨張度を定点観測。マグマの先端は火口直下約1キロに達しているとみている。

 ただ、今年に入って2地点間の距離は横ばい傾向が続き、マグマの上昇を示す火山性微動、ガス噴出量、火口温度などいずれも低調。そのため大倉教授は「さらなる噴火の可能性はあるが、活動は全般的に落ち着いてきている」と話す。

 同火口では熊本地震があった2016年の10月、噴煙が1万1千メートルに達する爆発的噴火があったが、以降は沈静化していた。 (佐藤倫之)

   ◇    ◇

伝統の建物残し復旧へ 京大火山研究センター

 熊本地震で被災した京都大火山研究センター(南阿蘇村)は本年度中の復旧に向け、大詰めの工事が進む。日本初の火山研究・教育施設として1928年に開設された同施設は、大規模地滑りで5人が亡くなった丘陵地・高野台の頂上にある。昭和初期、当時はまだ珍しかった鉄筋コンクリート造りの建物(6階建て)は、国の文化財にも指定されており、伝統施設を生かす形で新たな一歩を踏み出そうとしている。

 同施設は熊本地震本震(震度6強)で、基礎部分は大破したものの、アールデコ調の室内や外観は大きく損壊しなかった。そのため昨年7月から、基礎を耐震補強する形で修復再建が進められている。

 一帯は約5万年前の噴火活動によって形成された溶岩ドーム跡とされる。移転再建も検討されたが、観測の利便性や伝統も考慮し、現地での復旧を決めた。

 地震で最も懸念されたのは、長年の観測で蓄積されたデータの消失。阿蘇山の噴火予知に欠かせないデータは、京大関連施設に送信保存され、守られた。

 調査研究機能は地震翌年の2017年4月から、阿蘇市内の旧小学校舎に移転され、常駐研究員6人が観測を続けている。

熊本総局が移転しました

熊本総局 移転先地図

西日本新聞熊本総局が移転しました。新しい総局は、熊本市中央区の熊本桜町バスターミナルに近い坪井川沿いです。電話、FAX番号も変更となりました。

▼移転先
住所 〒860―0805 熊本市中央区桜町2番17号第2甲斐田ビル9階
電話 096(323)1851
FAX 096(323)1853

熊本県の天気予報

PR

熊本 アクセスランキング

PR

注目のテーマ