トイレ届かず「新居住めない」 中国から部品滞り、引き渡し1ヵ月延期

西日本新聞 九州経済面 山本 諒

 「楽しみにしていた新居の引き渡しが先延ばしになった」-。本紙「あなたの特命取材班」にこんな声が届いた。新型コロナウイルスの感染拡大のあおりで、トイレやシステムキッチンの納品が遅れているという。TOTO(北九州市)によると、中国での感染拡大で現地からの部品調達が滞っていたため。徐々に解消しつつあるものの、当面は供給が不安定な状況が続く見通しだ。

 「トイレとキッチンが届かず、予定の4月末に引き渡しができない」。北九州市小倉南区に住む女性(25)は3月上旬、自宅の新築工事を請け負う工務店からこう伝えられた。その後、1カ月先延ばしで納品が決まったが、「引っ越し日程の変更や家賃の支払いなどで余計な出費がかさんだ」とため息をつく。

 建築業者も危機感を募らせる。福岡県田川市の「さくらトータルライフ」は新築住宅建築が主力。しかし、2月以降、住宅設備の卸会社からトイレや給湯器の受注停止や納期遅れの通知が届くようになり、新規顧客への営業を停止した。堀弘道代表は「従業員8人の生活のため、リフォームで事業を続けているが、早く遅延が解消してくれないともたない」と話す。

 なぜトイレやシステムキッチンが届かなくなってしまったのか。

 TOTOは、新型コロナの感染拡大による中国の部品サプライヤー工場の稼働停止が響いたと説明する。国内向け製品は北九州市などの国内工場で製造するが、温水洗浄便座「ウォシュレット」に使われる電子部品や配管まわりの一部部材を中国から輸入しているためだ。

 パナソニックも中国のサプライヤー工場の影響で同時期にトイレやバスの一部納期遅れを通達。2社の製造停止を受けて注文が殺到したLIXILも3月上旬から下旬にかけて新規の受注を停止した。

 国内のトイレ市場は、この3社がほぼ全てのシェアを握る。建築業者らでつくる日本建築家協会九州支部の松山将勝幹事長は「3社とも受注停止で代替品がなくなったため、住宅業界にとって深刻なダメージになった」と解説する。

 TOTOは中国の部品工場再開や一部調達先の見直しで、洗面化粧台とユニットバスの生産が通常通りに回復。受注を停止していたトイレなども、数週間遅れの条件付きで生産を再開している。同社広報は「新型コロナの感染が世界的に広がる中、完全復旧の見通しはまだ立たないが、全社を挙げて製品を届けたい」としている。 (山本諒)

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