感染者数の県別推計値、参考になるの? 人との接触減らせば低下も

西日本新聞 社会面 山下 真

 新型コロナウイルス感染症を巡り、流行ピーク時の感染者数を試算した推計値がある。厚生労働省は推計値を基に感染者数が大幅に増えた際に備え、医療態勢を検討するよう都道府県に呼び掛ける。推計値はどの程度、参考になるのだろうか。

 厚労省の対策推進本部によると、推計値を出す計算式は、政府の専門家会議メンバーで、北海道大の西浦博教授(感染症疫学)が中国の患者データ(2月末時点)などを分析して考案。0~14歳、15~64歳、65歳以上の各世代の人口を当てはめ、1日当たりの外来受診者、入院患者、重症者を算出する。感染者1人から平均1・7人に感染が広がると想定し、流行が始まって約3カ月で感染者数がピークに達するとしている。

 九州7県は計算式に基づいて、ピーク時の感染者数を試算。各県に取材したところ、集中治療や人工呼吸器が必要となる重症者数は、福岡約300人▽佐賀50人▽熊本111人▽宮崎70人▽鹿児島104人-と想定する。長崎、大分両県は「住民の不安が強調される」として非公表とした。

 ただ、公衆衛生上の対策次第で、実際の数値は低くなる可能性がある。

 厚労省の担当者は「あくまで目安。推計値は最悪のケースとして捉え、医療需要の目安として活用してほしい」と説明。西浦教授は会員制交流サイト(SNS)の動画で「人と人との接触を80%削減できると、感染者を激減させる効果が期待できる」と指摘する。例えば、普段は1日10人に会う人は、2人に抑え、接待を伴う飲食店への入店を控えるなどすることで、爆発的な感染拡大を防ぐことができるという。

 九州大の橋口隆生准教授(ウイルス学)は「計算式ができた後に、イタリアやスペインでは感染者が急増した。医療崩壊が起きれば、推計値より悪い数字になることも想定される。一人一人が感染抑止に協力するという心構えを持ち、他人にうつさない行動を取ることが大切だ」と話した。 (山下真)

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