「地震低リスク」PRは慎重に 九州の自治体、企業誘致で多用

西日本新聞 社会面 御厨 尚陽 岡部 由佳里

 企業誘致を進めるため、九州では多くの自治体がホームページ(HP)やパンフレットで、政府や研究機関が示した地震発生確率の低さをPRしている。ただ、近年は各地で地震による被害が相次ぐ。こうした情報発信は時代に合った手法なのだろうか。「安全地帯」とPRしていた熊本県は熊本地震(2016年)を機にHPから削除した。

 「過去120年間マグニチュード7以上の地震は発生していない」。熊本県はHPで企業立地の利点をこう説明していた。九州を「安全地帯」とする一方、東日本大震災で被災した東北などを「危険地帯」と指摘。熊本地震後に、インターネット上で批判されて削除した。県の担当者は「地震の発生確率はセールスポイントにならなかった」と教訓を語る。

 地震リスクの低さをPRする自治体はどのような発信をしているのか。

 長崎県の外郭団体(長崎市)は企業誘致パンフレットで、政府の地震調査研究推進本部による30年以内の震度6以上の地震発生確率が、都道府県庁所在地で2番目に低いと紹介。「リスクヘッジは長崎県で」と呼び掛ける。

 福岡県小郡市はパンフレットに、国立研究開発法人「防災科学技術研究所」が予測する震度6以上の発生確率が東京、名古屋、大阪より低いと記載。佐賀県はHPで過去96年間、震度1以上の地震の発生数が、全国主要都市より少ないと紹介する。

 鹿児島大の井村隆介准教授(地質学)は「統計に基づいたPRは不適切とはいえない」と前置きした上で、「地表に出現してない断層が存在する可能性があり、どこでも震度6以上の地震が発生する恐れがある。自治体は安全の発信の仕方を慎重に検討、工夫してほしい」と提言する。 (御厨尚陽、岡部由佳里)

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