「嫌がらせ?」口コミに悔し涙 グーグル、投稿削除の壁高く

西日本新聞 黒田 加那

 「グーグルマップの口コミで、中傷されて困っています」。福岡県内でクリニックを経営する女性から、西日本新聞あなたの特命取材班にSOSが寄せられた。書かれた側は反論したり、口コミを削除したりできないのだろうか。

 グーグルマップは米グーグルが提供する地図サービス。利用者は地図上に表示された飲食店などを最大五つ星で評価し、レビュー(口コミ)を投稿することもできる。学校や交番、史跡など、あらゆるスポットに対して評価や投稿が可能だ。

 女性は昨年、クリニックの口コミが書き込まれていることを知った。「(職員が)患者の悪口を言う」「4時間近く待たされる」などと、心当たりのない内容で一つ星評価の口コミが数件。「まともな病院ではない」など、嫌がらせのような投稿もあった。

 複数のアカウントで投稿されているが、同一人物の疑いも拭い切れない。誰が書いたか分からない一方的な内容に職員は怖がり、悔し涙を流す人もいた。「みんな患者のために一生懸命やっている」と女性は憤る。

 グーグルに投稿の削除を求めたが、対応はされなかった。弁護士にも相談したが、個人情報や危害が及ぶような内容ではないことなどから、「法的措置でグーグルに削除を求めても時間がかかるし、削除してもらえるか分からない」との見解だった。

   ◆    ◆   

 グーグルジャパン広報部によると、事業者や利用者から不適切な口コミの報告があった場合は、審査の上、投稿の削除やアカウントの停止を行っている。

 削除対象となるのは「意図的な虚偽情報の投稿、話題に無関係な口コミ、中傷的な表現、個人攻撃」などに当たると判断したもの。こうした書き込みを手動や自動システムで検出しているという。

 ただ、事業者と投稿者とで主張が食い違う場合については、「事実を確認する方法がない以上、どちらかの言い分を支持することはできません」。詳しい審査内容は「(迷惑メッセージを送信する)スパム業者などによる悪用を避けるため公表していない」と回答した。

 クリニックの口コミは、今もそのまま。女性は反論を投稿しようとも思ったが、同じ経験をした同業者から「反論するほど相手はエスカレートする」と忠告され、手を打てずにいる。

   ◆    ◆   

 「地図は誰もが利用する公共のもの。提供するグーグル側も責任を持たなければいけない」。ITジャーナリストの三上洋さんは指摘する。米国などでは以前から、レストランやホテルの口コミで、中傷や第三者を装った「やらせ」の高評価が問題になっているという。

 削除対象とならないような中傷をされた事業者は、どうすればいいのか。三上さんによると、グーグル側に報告する他には、事業者自身のサイトなどで「口コミで妨害行為を受けているが、事実無根」などとアピールして、ぜんとした態度を利用者に示すことが推奨される。「逆に言えば、それくらいしか手がない。事業者側は無力だ」

 自由に書き込まれる投稿を一つ一つ精査するには、手間もコストもかかる。しかし口コミの影響力は大きく、三上さんは「『ユーザーの投稿だから』と逃げず、もっと管理を強化するなどしてある程度コントロールする必要がある」と強調する。

 また利用者側に対しても「口コミは、やらせや嫌がらせが付き物」という特性を意識して活用するよう訴えている。(黒田加那)

PR

社会 アクセスランキング

PR

注目のテーマ