乳児おんぶして包丁握ることも 34歳の子連れすし職人

西日本新聞 ふくおか版

ワタシの職場(4)

 生後7カ月の長男がぐずりだすと、仕込み中におんぶしたまま包丁を握ることがある。すし店「花寿し」(福岡県大牟田市)の店主坂井史絵さん(34)は、夫が仕事の都合で不在のときなど、板場で職人と育児の両立に努める。「子育て世代でも気軽に立ち寄ってもらいたい」

 高校2年から近所の老舗すし店で接客のアルバイトを始めた。20歳の頃、手に職を付けようと思い、頭に浮かんだのがすし職人だった。店の大将の支えもあり、4年ほどで握れるようになったが当初、年配常連客の言葉にショックを受けた。「女のすしなんて食べたくない。下手でもいいから男が握ってくれ」。帰り道で涙が止まらなかった。

 14年間の修業を通して周囲の目も変わり、2018年2月に独立。店の座敷には絵本などのキッズスペース、トイレにはおむつ交換台を設けた。「子連れでくつろげる店が少ない」「“回らないすし”は高級なイメージなので入りにくい」。背中を押したのは同年代の女性の声だった。

 夏休みに子ども向けのすし教室を開くなど、古里で親しみやすい店を目指す。「営業中、子どもをあやしてくれる人もいて、お客さんにも恵まれています」

(宮下雅太郎)

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