地震リスクの低さPR、長崎県は妥当? 専門家ら「安全とは言えぬ」

西日本新聞 長崎・佐世保版 岡部 由佳里

 2016年4月14、16日の熊本地震から4年を迎えたが、教訓は生きているだろうか。県外郭団体の「産業振興財団」は政府の地震調査委員会が示す地震発生の確率の低さを根拠に、長崎は「安心・安全・快適」とアピールするパンフレットを作成している。だが過去に同様の宣伝文句を使った熊本は「(確率は)セールスポイントにはならない」と改訂。専門家らも「決して安全とは言えない」と指摘する。

 「リスクヘッジは長崎県で」。振興財団は今後30年間における震度6弱以上の発生確率を示す資料を添付し、こう呼び掛ける。最新の昨年1月のデータでは、県庁所在地で長崎市の2・6%は札幌市(1・6%)に次いで低い。

 財団は11年の東日本大震災以降、企業が製造拠点などの分散を強めた点に着目。恵まれた農水産業を「豊かな環境」とアピールし、地震の確率の低さも魅力の一つに打ち出し始めた。

 ただ、必ずしも安全とは言い切れない。1922年には島原半島付近でマグニチュード6・9や6・5の地震が発生し、26人が死亡。近年、長崎市東側の橘湾を震源地とする地震も頻発。県の地域防災計画も、県内の活断層による最大規模の地震で、長崎市周辺で震度4~6強、一部の地盤が軟弱な場所では震度7の可能性があるとする。

 かつて熊本県はホームページの企業誘致サイトで地震の少なさをアピールしていたが、取りやめた。企業立地課は「地震リスクが低いとされてきたが、大きな揺れに襲われた。日本中どこでも起こる可能性がある」と教訓を語る。

 一方、長崎の振興財団はこうした熊本の経緯を「知らなかった」とし、現在もパンフの表記を続ける。財団担当は「リスクの小ささが分かる客観的な資料として掲載しており、問題があるとは考えていない」との立場。九州大地震火山観測研究センター(島原市)の松島健准教授(固体地球物理学)は「地盤の強さなどで被害の大きさは変わる。特に長崎市は斜面地や埋め立て地が多く、必ずしも安全とは言えないのではないか」と指摘している。 (岡部由佳里)

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