「1日10件限界」検査パンク寸前の接触者外来 救急患者の治療に支障も

西日本新聞 一面 斉藤 幸奈 井上 真由美

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い病床確保が課題となる中、感染の有無を確認する診察とPCR検査の態勢について、医療現場から不安の声が上がっている。PCR検査は保健所が判断するが、実際に検体を採取するのは各地の医療機関に設けられた「帰国者・接触者外来」。福岡県内ではフル稼働しているところもあり、パンクしかねない。検査を受けられない患者が複数の医療機関を受診し、感染を拡大させる恐れもある。

 「新型コロナウイルスの感染が疑われる患者は1日20人弱を診るのが精いっぱい。それ以上は一刻を争う救急患者を治療するという本来の業務に支障が出る」。「帰国者・接触者外来」を設ける福岡市の中核病院の事務局長は苦慮する。

 検体採取など診察に20~30分間。1人を診るごとに診察室などを消毒するため、1人当たり計1時間程度を要する。スタッフは感染症専門医2~3人と看護師1人。今のところ保健所の依頼に対応できているが、これ以上増えると診察室2室をフル稼働しても難しいという。入り口を別にするなど感染防止策は万全にしているが、事務局長は「院内感染のリスクも否定できない」と危ぶむ。

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 37・5度を超える発熱や息苦しさなどが4日(高齢者や基礎疾患がある人は2日)以上続くなどの症状が出た場合、各保健所の「帰国者・接触者相談センター」に相談。センターが必要と判断した場合のみ「帰国者・接触者外来」(医療機関名は非公表)の受診を促すことになっている。

 同外来は14日現在、福岡県内に51カ所。2月当初の31カ所から順次増やしているものの、多い日は計500件を上回り、感染者の急増に追い付いていない。検査を判断する保健所の人員不足に加え、同外来の切迫した状況も、検査数が伸びない背景にある。

 福岡市の民間病院の院長は「感染を疑い、保健所に電話してもPCR検査につながるのは3割程度」と明かす。症状が治まらず、複数の病院を受診した患者が結果的に感染していた場合、ウイルスを広げてしまう懸念もある。「帰国者・接触者外来が不足し、機能不全に陥っているのではないか」

 実際、同市内の保健所の担当者は「帰国者・接触者外来が忙しく、すぐには患者を回せない」とこぼす。

 福岡県医師会の担当者は「外来をもっと増やした方がいいと思うが、検体採取は一般の診療所には負担が大きく、増設はなかなか進まない」と打ち明ける。

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 こうした状況に独自の対応をする自治体もある。

 新潟市は3月から「ドライブスルー方式」の検査を始めた。感染者の濃厚接触者で検査が必要な人のうち、軽い症状の場合は車で保健所に来るよう要請。防護服の医師らが車の窓越しに問診し、喉の粘液などを採取する。

 医療機関の室内で検査する場合、1日に10件程度が限界。ドライブスルー方式では20~30件ほど対応が可能という。名古屋市や奈良県、鳥取県なども導入済みか、導入予定としている。

 「福岡でもドライブスルー方式を検討しては」「一般病院でも防護装備を整え、対応した方がいい」-。福岡県内の医療関係者の間では、態勢の再構築を求める声が広がっている。 (斉藤幸奈、井上真由美)

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