阿蘇神社再建を我が手で 楼門修復、地元大工も参加 熊本地震4年

西日本新聞 社会面 佐藤 倫之

 4年前の熊本地震本震で倒壊した阿蘇神社(熊本県阿蘇市)のシンボル・楼門の再建作業が16日、報道機関に公開された。現場から回収された部材約1万点の修復や組み立ては大手建設会社や宮大工らの専門チームが担当。地元の大工ら3人も参加している。約170年ぶりの一大プロジェクトは、地元職人の心意気にも支えられ、本年度から本格化する。

復旧が進む熊本城

 国指定重要文化財の楼門は江戸後期の1850年に造営されたが、2016年4月16日の本震で全壊した。修復現場では作業用の素屋根が6月にも完成。年明けから組み立て作業に着手し、23年末完成を目指す。

 2年前から作業に加わる下村和男さん(70)は本震の際、神社に近い自宅前で車中泊をしていた。楼門倒壊を知り、駆け付けて目にした明け方の光景が胸に刺さっている。「この神社で結婚式を挙げ、子ども3人の七五三も。楼門には家族の思い出が刻まれている。何らかの形で再建に関わりたかった」。思いを関係者に再三伝え、承諾を得た。

 1964年に中学を卒業した後、親族から手ほどきを受け大工の道に入った下村さん。腕には覚えがあったが、宮大工の手仕事は勝手が違った。損傷した部材を修復するにも、倒壊した拝殿の古材を再利用。木目まで合わせて、かんなで削っていく。「匠(たくみ)の技やこだわりに感心し、勉強することばかり」。今では地元の同業者2人も加わり、力を合わせる。

 棟梁(とうりょう)を務める宮大工の与那原幸信さん(54)は沖縄県出身。若い頃、大工だった父に連れられ、昨秋全焼した首里城のかつての復元工事に携わった経験がある。出雲大社(島根県)修復などでも知られる存在。「どんなかけらも文化財。それぞれに思いが宿る。一つ一つ丁寧に」が口癖だ。

 江戸時代の楼門造営時に棟梁を務めた水民元吉は、現在の熊本県宇城市出身。20代で抜てきされ、細川藩の御用大工へと駆け上がった。今回の再建のように地元職人を登用し、技術の伝承の場にもなったという。

 作業を統括する公益財団法人「文化財建造物保存技術協会」(東京)の石田陽是(あきよし)さん(29)は「7年がかりの修復作業もいよいよ大詰め。文化財の修復は先人との対話。元吉さんも見守ってくれていると思う」と話した。 (佐藤倫之)

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