入学式中止、授業なく帰省…キャンパスの春、始まり見えず

西日本新聞 社会面 四宮 淳平 金沢 皓介

 春の大学キャンパスも一変している。新型コロナウイルス感染拡大に伴い7日に緊急事態宣言が出ていた福岡県の大学は、学内への立ち入りを相次いで制限。学業、交友関係などさまざまな期待を抱いていた新入生たちにとって、リアルな大学生活の始まりは見えないまま。教職員は急きょ、オンライン授業の準備に追われている。

 「学部の友達、ちゃんとできるかなぁ」。福岡大(福岡市城南区)に今春入学した女性(18)は、そんな不安を抱えている。

 入学式は中止、授業履修の説明も資料のみ。8日にはキャンパスへの立ち入りが禁止された。大学に行ったのは学生証などをもらった2回だけ。知人もおらず、履修する授業はツイッターで知り合った新入生や在校生に相談しながら決めた。本来より2週間遅れ、24日からようやくネットを使った遠隔授業が始まるが「隣の人に聞けない環境はつらい」と漏らす。

 福岡工業大(同市東区)の新入生、梶原凌介さん(18)は、わずか数日を寮で過ごした後、大分県臼杵市の実家にとんぼ返りした。高校時代は強豪熊本工業高の野球部で主将を務め、甲子園にも出場。大学でも野球に打ち込むつもりだったが、今は1人でトレーニングするしかない。「寮生活と、チームメートとの野球をすごく楽しみにしていたのに」と声を落とした。

 同大は2月下旬から、研究や就職活動の相談以外の立ち入りを制限し、緊急事態宣言の後は全面的に禁じた。学生一人一人の相談に教職員が応じる「面倒見の良さ」を特徴に掲げてきたものの、現状では対面によるこまやかな対応は難しく、就職や面接の指導もオンラインで実施している。

遠隔授業、教員手探り

 県内の感染者数の増加傾向に歯止めはかからず、16日には緊急事態宣言の対象区域が全国に拡大された。いつ「日常」が戻るのか、不透明感が増している。

 西南学院大(福岡市早良区)は15日からテレビ会議システムなどを使った授業を開始。九州大(同市西区など)は5月7日から6月24日まで、ネットを通じた遠隔授業による科目のみを開く予定という。

 ただ、講義形式の授業を長年続けてきた教員たちにとって、オンライン授業への切り替えは容易ではない。「動画を作って流せばいいというわけではなく、新しい授業を立ち上げるくらいの準備と覚悟がいる」。福岡大准教授の一人はそう話す。「準備期間は短く、試験や評価の方法など浮かんでくるのは疑問ばかりだ」 (四宮淳平、金沢皓介)

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