二大政党、選挙制度骨抜き 議席の地域偏重復活 韓国・総選挙

西日本新聞 国際面 池田 郷

 韓国の総選挙(定数300)から一夜明けた16日、韓国紙は「共に民主党」など革新系与党の圧勝を大々的に伝えた。一部メディアは、多様な民意をくみ取る目的で今回導入された準連動型比例代表制の本来の理念が、同党と保守系最大野党「未来統合党」の党利党略によって骨抜きにされ、小政党の議席獲得を阻んだと批判。保革両政党の獲得議席が特定地域に偏重するかつての傾向が復活したことを懸念する報道も相次いだ。

 「180議席圧勝、改憲を除いて全て可能に」(中央日報)。多くの韓国紙は同日、事前の議席予測を上回る革新系与党の大勝を、驚きをもって伝えた。革新系紙ハンギョレは社説で、与党の勝因として文在寅(ムンジェイン)政権の新型コロナウイルス対応を挙げた上で「決してうぬぼれてはならない」と強調。感染拡大に伴う経済危機への対応に総力を尽くすよう求めた。

 新たな準連動型比例代表制は、小選挙区(定数253)の獲得議席が少ない政党に、比例代表(同47)の得票率に応じて一部議席(同30)を配分する仕組みが加わった。しかし、未来統合党が、この仕組みを逆手に取って比例代表対策のミニ政党「未来韓国党」を設立。共に民主党も同様に「共に市民党」をつくって追随した。

 結果的に両党は、比例議席の8割近い36議席を獲得。小政党に一定の議席を確保することで、弱者や社会的少数者など多様な民意を国政に反映させる当初の理念はかき消された。革新系の京郷新聞は「両党に痛恨の自省を促す」と批判した。

 選挙結果について同紙は「よみがえった地域主義、嘆かわしい」との見出しの社説を掲載した。共に民主党は今回、ソウルなど首都圏や、古くから地盤とする南西部の全羅道で圧勝する一方で、南東部の慶尚道では未来統合党が議席をほぼ独占した。就任当初は「国民統合」を訴えた文政権が、保守陣営との対立姿勢を徐々に強めたことも「地域対立」に拍車をかけたとみられる。

 未来統合党は、2016年の総選挙、17年の大統領選、18年の統一地方選に続く大型選挙4連敗。黄教安(ファンギョアン)代表が15日、辞意を表明したものの、次期大統領選に向けた党勢回復の方向性は見えてこない。「現在の保守は国民の心に届くメッセージを持ち得ていない」(日韓外交筋)との指摘も多く、解党的な出直しが求められそうだ。 (ソウル池田郷)

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