タイ、制限解除どこまで 新規感染減、線引き苦悩

西日本新聞 国際面 川合 秀紀

 【バンコク川合秀紀】非常事態宣言下にあるタイで新型コロナウイルスの新規感染者数が減少傾向に転じたため、政府が月内に期限を迎える同宣言の解除や生活制限の緩和について検討に入った。ただ政府内や専門家の間では感染拡大リスクの懸念がなお強く、緩和の時期や範囲について難しい判断が迫られそうだ。

 タイの感染者は計2700人(17日現在)。一時は毎日100人以上確認されたが、最近1週間は30人前後に減っている。東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国で累計2千人を超えるのはタイのほか、5千人超のフィリピン、インドネシア、マレーシアと、4千人台のシンガポールの5カ国。タイ以外は現在も毎日100~数百人の新規感染者が確認されており、タイの減少傾向が際立つ。

 タイでは、3月下旬から罰則付きの政府命令によって娯楽施設や商業施設などが閉鎖され、レストランや喫茶店も持ち帰りと配達だけの営業に。同26日には全土に非常事態宣言を出し、今月から夜10時以降の外出やアルコール販売も禁止。陸の国境往来禁止に加え、空路での入国にも厳しい条件を課している。

 感染者の減少は検査数が限られているほか、一連の制限が奏功しているためだ。プラユット首相は15日、夜間外出禁止の緩和と、26日に期限を迎える非常事態宣言の延長の可否を近く判断すると表明。政府高官も17日、理美容店や家電店など一部の再開を来週中に判断する方針を示した。

 緩和にかじを切る背景には、収入や雇用を失った市民の不満が強まっていたこともある。

 首都バンコクに接するノンタブリ県の知事は13日、県内の理美容店や家具店、宝くじ店などは「市民の生活に必要」として営業再開を認めると発表。すぐに政府から「感染リスクが高い」と批判され撤回されたが、他の自治体でも営業再開を探る動きが表面化。

 低所得者に5千バーツ(約1万6千円)を3カ月間支給する政府の支援でも、想定の約3倍の約2700万人が申請。支給を断られた人が大挙して財務省に抗議に詰めかける事態となった。

 プラユット氏は15日に「国民が制限の影響を受けていることは理解しており、代替策を探る」と釈明。一方で、感染が小康状態にあったシンガポールなどで再び増加に転じていることを念頭に「感染の第2波を防ぐため、緩和は段階的になる」と述べた。

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