「無礼者」と激高されても… WAHAHA本舗・梅垣義明さんに聞く舞台への思い

西日本新聞 山上 武雄

 劇団WAHAHA本舗の看板俳優、梅垣義明さん(60)は、数々の女性歌手のものまねで観客を沸かせてきました。福岡で予定していた還暦記念リサイタルは、残念ながら公演中止になりましたが、福岡を訪れた梅垣さんに、還暦を迎えた思いや舞台に懸ける情熱をうかがいました。

 -シャンソンをメインにした舞台を予定していたのですね。

 ★梅垣 美輪明宏さんを尊敬していまして、これまでも美輪さんみたいに女装してシャンソンを歌ってきました。美輪さんは本物です。仰々しくつくられた部分もあるけど、オーラがある。男でもなく女でもない。性を超えている。寺山修司の戯曲「毛皮のマリー」という芝居にも呼んでいただくなど、交流があります。家が近くなんで「遊びに行っていいですか」と頼みましたが、「来ないで」と言われた(笑)。

 -仕事を始めたのは20代ですね。

 ★梅垣 芝居をやりたいと思って、お笑いがいいなと。20代の頃って頭で考えるより、体が先に動く。京都の大学を辞めてそのまま東京に行きました。若い頃って何の根拠がなくても、行動するってことがありますね。

 -お客さんが参加したネタが受ける。

 ★梅垣 お客さん全員にパンティーを配って、それをかぶってもらったライブもある。若い女性は喜んでその姿を記念写真に収めたり、トイレに行ってわざわざ髪もセットをしたりするほどです。ネクタイを締めて社会的地位のある人がそういう姿をしているのを舞台から見るのが楽しいですね。逆にかぶらない人は銭湯で一人だけ服を着ているみたいなものでしょう。

 -衣装も工夫していますね。

 ★梅垣 ネタによっていろんなものをつくる。するめいか、こんぶといった乾物をドレスに付けて、ストールはかつお節。その姿で加山雄三の名曲「海 その愛」を歌う。そしてストールをばらまく。もちろん掃除して帰ります。乱暴な感じに見えるが、笑える、笑えないのぎりぎりをやっている。

 -客層が広い。

 ★梅垣 子どもや若い子もいる、お年寄りもいる。ぼくと同じ年代もいる。もし下品だったらお客さんは来てくれないはず。お母さんが子どもを連れてきているのは楽しんでもらっているのでしょう。舞台から客席を見ていろんな世代がライブを楽しんでくれるのがうれしい。

 -それが舞台の喜びですね。

 ★梅垣 やはり生だと思う。直接の反応があること。アナログな面白さがある。プロジェクションマッピングを使った舞台をよく見受けるけど、あれはどうかな。雪のシーンが映像で簡単にできる。でも紙の雪が降らないと面白くないと思っている。足が埋まるぐらいとか、桟敷席が埋もれて立ち上がれないくらいにならないと。裏でスタッフさんが仕掛けのために頑張ってくれてる。その生が面白い。

 -観客から怒られたことは?

 ★梅垣 舞台に上げた男性に、細工して私の股間からつけたマイクで話を聞いたところ“無礼者”と激高され、帰ったことがあります。悪気はないんですけどね。

 -福岡や九州のイメージは?

 ★梅垣 ツアーで福岡や熊本に行っている。好きです。お客さんが明るいし、乗せ上手。楽しむというか、お客さまが前のめりになる。ねぶた祭のある青森とかよさこいの高知と同じですね。市民参加の祭りがあるところはノリがいいですね。

 -還暦を過ぎました。

 ★梅垣 舞台は体力がいる。2~3年前に比べ、体力が落ちたなと思う。それでたばこもやめたら太ってしまった。ドレスはタイトに作っているから、体重を落としたいですね。ストイック? 普段がだらしないだけです。普通の生活をすれば太らないでしょうね。

 -鼻の穴に入れたピーナツを飛ばす定番のネタがあります。

 ★梅垣 ピーナツメーカーさんに昔、怒られましたけど、今は送っていただいています。春日井製菓さんには、感謝しています。鼻にしっくりきます。

 (文・山上武雄、写真・佐藤雄太朗)

 ▼うめがき・よしあき 1959年7月12日生まれ、岡山県出身。84年に劇団WAHAHA本舗に入団。女性歌手のものまねで「歌姫」と呼ばれる。主な出演作は、映画「難波金融伝 ミナミの帝王」シリーズ、テレビドラマ「はみだし刑事情熱系」など。

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