平日の外出自粛、東京より鈍い福岡 携帯電話端末で在宅率算出

西日本新聞 中野 雄策 古川 幸太郎

 新型コロナウイルスの感染予防で、人と人の接触機会を減らすために不可欠な平日の外出自粛に地域差が出ている。携帯電話端末のデータから分析した住民の在宅率は、東京23区で感染拡大前より2割近く増えたのに対し、福岡市は1割弱にとどまる。繁華街や主要駅のデータも同様の傾向で、東京に比べると福岡は住民の動きが鈍い。緊急事態宣言が全国に拡大する中、地方都市でも市民や企業にもう一段の行動変化が求められそうだ。

 ドコモ・インサイトマーケティング(東京)はNTTドコモの携帯電話端末の位置情報を分析し、東京23区、福岡市、熊本市で自宅周辺(各区内)にとどまった住民の割合を示す在宅率を算出した。

 平日の動きを見ると、東京23区は感染拡大前の2月5日に50・4%だった。だが外出自粛要請後の4月1日は59・7%、緊急事態宣言発出後の同15日には68・5%となり、外出を控える人が大幅に増えた。

 福岡市は2月5日が58・5%で、4月1日は63・3%、同15日は68・3%と推移した。感染拡大前から15日までの増加幅は東京都の18・1ポイントに対し、福岡市は9・8ポイント。熊本市ではさらに行動変化が見られず、2月5日が57・4%、4月15日が61・4%だった。

 データによると、日曜日だった4月12日の在宅率は東京、福岡ともに8割近くに達しており、課題は平日だ。東京に比べて福岡で平日の在宅率の伸びが鈍い理由について、福岡市の50代地方銀行幹部は「福岡の企業は在宅勤務の環境が整っておらず、通勤している人が多いからではないか」と推測する。

 平日のオフィス街や繁華街の人出にも、同様の地域差がある。内閣官房がまとめたJR利用者のデータによると、15日のJR新宿駅の利用者は前年同期比75・0%減に対し、博多駅は66・0%減。感染拡大前と比べた17日の東京・渋谷の人出は64・3%減、福岡・天神は55・4%減で、いずれも減少幅に10ポイント程度の差がある。

 意識や雰囲気の違いを感じている人も少なくない。30代の男性会社員は3月末から一時的に東京支社を離れ、福岡市の本社に戻っている。「福岡は東京より危機感が薄い。最近になって変わってきたが、周囲の会話や通勤の風景は東京の2週間前のようだった」と話す。

 データもこれを裏付けている。飲食店の予約システムを運営するテーブルチェック(東京)によると、首都圏では昨年3月の1店当たりの予約件数が15・9件だったが、今年3月は10・3件。4月は2・7件に急減した。4月のキャンセル率は前年の4倍という。

 一方、福岡県内は3月まで例年並みの1店当たり10件の予約があり、前年を上回る日も少なくなかった。同社担当者は「福岡は3月までは全国より緩い状況だったのではないか」と分析。ただ、今月に入ってからは3・7件にまで減少、キャンセルも増えており、住民意識の高まりと行動の変化をうかがわせている。(中野雄策、古川幸太郎)

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