検査スムーズ、支援充実… 韓国・釜山赴任の記者、2週間隔離生活ルポ

西日本新聞 国際面 金田 達依

 【釜山・金田達依】韓国釜山市に今月2日、本紙駐在員として赴任した。韓国は1日以降、新型コロナウイルス感染拡大阻止のため全ての入国者に2週間の隔離を義務付けており、私も隔離生活を送った。徹底した検査と隔離で感染封じ込めの「成功例」といわれる韓国の現状を垣間見た。

居所特定アプリが必須

 2日に降り立った金海空港は厳戒態勢だった。職員はほぼ全員が防護服を着用。入国者は入国審査場の手前に掲示されたQRコードをスマートフォンで読み込み、専用アプリを入れなければ審査を受けられない。

 入国手続きを終えると、職員に声を掛けられた。「出迎えはいますか」。前任者から引き継いだアパートが私の隔離場所。家族など出迎えのない者は専用バス(大型の観光バス)の受付窓口を案内された。行き先の地域別に分乗し市内へ。

 受付でまごつく日本人がいた。「予約したホテルではだめだと言われて…」。宿泊先が自宅などの場合を除き、140万ウォン(約12万6千円)を支払って市が指定する隔離施設に入らなければならない。

 翌3日午前、病院へ。ビザ取得時に、入国後24時間以内に新型コロナウイルスの検査を受けるよう言われていた。公共交通機関は使えず、市が専用車で送迎。運転手と職員1人が付き添った。

 15分ほどで病院に到着。屋外に検査用のプレハブやテントが並ぶ。受付から問診、検体採取、胸部エックス線検査まで棟ごとに分かれた中を流れるように進み、約30分で終了。結果は約6時間後、電話で知らされた。「陰性」だった。

 その日の午後、地元区役所から支援物資が届いた。カップ麺やパックご飯、レトルトカレーなどおよそ2週間分の食料と、ごみ袋。隔離でごみ出しができないため消毒液付きだ。医療用マスクも10枚入っていた。

 入国時に入れたアプリで1日2回、体温などを報告。当局はアプリの衛星利用測位システム(GPS)で本人の位置を特定できる。「スマホを置いて外出したらどうなるの?」と思っていたら、隔離中の入国者がサウナや飲食店に行って感染病予防法違反容疑で逮捕される事件が起きた。当局は11日、違反者に本人の同意を得た上で追跡用の電子リストバンドを装着すると発表した。

 17日、私の隔離期間が明けた。テレビ電話などで家族らと頻繁に連絡を取り、精神的にはそれほど負担ではなかったが、食欲が落ちてご飯がおいしくなくなった。やはり人間は活動しないとだめなようだ。

 韓国の感染者は13日以降、30人以下で推移する。厳格な隔離や監視措置に人権上の問題を巡って議論はあるものの、国民はおおむね政府を評価。15日の総選挙では文在寅(ムンジェイン)大統領を支える与党が大勝した。

 韓国の施策全てが正しいとは思わない。だが感染封じ込めに全力を尽くし、一方で相応の支援を講じようとする姿勢に、日本が学ぶべき点は多いと思う。

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