ペットのクローン販売、中国で拡大 犬580万円、猫380万円依頼続々 (2ページ目)

西日本新聞 国際面 川原田 健雄

■国際的ルールづくり議論を 北海道大教授 石井哲也氏

 クローンペットにはどんな問題点があるのか。生命倫理に詳しい石井哲也・北海道大教授に聞いた。 (聞き手は川原田健雄)

 -企業側はペットロス解消につながると強調する。

 「遺伝情報の似通った動物が手に入るだけで、死んだペットが生き返るわけではない。悲しみは一時的に解消されるかもしれないが、それはごまかしでしかない。逆にクローンが手に入るからと、命が尽きる瞬間までペットに寄り添わないなど、飼い主の責任放棄につながらないか懸念する」

 -技術的な課題は。

 「代理母が流産したり、クローン動物が生まれてもすぐ死んだりするケースが少なくない。一定程度、健康なクローンを作るには複数の代理母に出産させて数を確保する必要がある。移植用の卵子を提供する雌は代理母とは別に必要で、ホルモン注射をして無理やり過排卵させている。非常に乱暴な繁殖方法だ」

 -クローン技術を動物に適用すること自体慎重であるべきか。

 「医学的な実験など限られた場面ではあり得る。しかし、クローンペットが普及すれば、愛犬が病気になっても新しいのを作ればいい、いらないから捨てるとなりかねない。ペットロス解消と言うなら、事故死した子どものクローンを作ってもいいじゃないかという考えが出かねない。かけがえのない一つ一つの命を大切にするという根幹が崩れる恐れがある」

 -中国でクローン技術の活用例が増えている。

 「中国はバイオテクノロジーなど産業化できる科学技術分野に国家として膨大な資金を投入している。クローン技術も当局主導で警察犬を誕生させており、お墨付きを与えているようなものだ。当然ペットへの適用もOKとなる」

 -法的な規制は。

 「必要だが、国際的な統一ルールは難しいのが現状だ。ただ、近年は動物の命のあり方に関心を持つ人が増え、国際的な『動物福祉』の意識も高まっている。クローン技術について幅広く情報提供し、市民が議論を深めることが大事だ。そこから最低限守るべきラインが見えてくるかもしれない」

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