クラミジアは二人で一緒に治療を【しもじもの話】

西日本新聞 くらし面

 婦人科検診で偶然クラミジア感染が見つかった妻から検査を勧められたというご主人に、検査結果をこのように説明するとき、私はその後が少し気掛かりです。「陰性でした。クラミジアは見つかりませんでした」。ご主人は決まって複雑な表情をされます。

 性行為で感染する感染症の中で一番多いのは、このクラミジアという病原体による感染症です。成人男女の5~10%が感染しているといわれています。男性の症状は尿道のかゆみや不快感、排尿痛、粘り気の少ないうみ。女性はおりものの増加や不正出血、性交痛、不妊の原因になることもあります。ただ多くの人は無症状のため、感染していることに気付かず、感染が広がっているのが現状です。

 以前の男性の検査は、尿道に綿棒を入れてぐりぐりするという、とっても痛いものでした。その印象が強いのか、検査をためらう男性が多いようですが、パートナーの感染が分かったら、症状がなくても必ず検査を受けてください。今は、尿中のクラミジア遺伝子を増幅させて病原体の有無を調べるPCR検査です。排尿するだけですから、痛みのない楽な検査です。

 ただ、感染していても、検査直前に排尿していると、クラミジアが尿で洗い流され、陰性と出る場合があります。来院時の尿検査では陽性率が24%なのに、同じ人たちを起床直後の尿で検査すると陽性率が78%だったとの調査結果もあります。検査時の状況次第で結果は大きくぶれるのです。

 そんなわけで、クラミジア感染が見つかった女性のパートナーに陰性の結果が出たからといって、絶対に感染していないとはいえないのです。

 クラミジアは誰でもかかりうる病気で、感染に気付かず長年過ごしている人もいます。風俗店に行くなど明らかな感染機会の後に症状が出て診断された場合以外は、いつ、誰から感染したか分からないことがほとんどです。幸い有効な治療薬があります。浮気など変な詮索をするより、パートナーと一緒に治療し、きちんと治すことが大切です。

 私は、二人の関係にひびが入ることがないよう、こんな説明を付け加えています。 (泌尿器科医・池田稔)

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