テレワーク、成功の鍵は?「達人」たちにノウハウ聞いてみた

西日本新聞 くらし面 新西 ましほ

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、急速に広がるテレワーク。在宅勤務は初めてという人や、これから導入予定の人も多いのでは? 長年、テレワークを実践している「達人」たちに、ノウハウを聞いた。

 人材紹介サービスのWaris(東京)は、共同代表の3人が福岡、東京、ベトナムに離れて暮らす。2013年の創業時から時間と場所にとらわれない働き方を掲げ、約40人の従業員すべてがテレワークを取り入れている。

 代表の一人で福岡市在住の河京子さん(35)がよく聞かれるのが「サボる人が出てくるのでは?」という質問だ。河さんは「まったくの誤解で、むしろ働き過ぎに注意すべき」と語る。

 オフィスに出社すれば、たとえネットサーフィンをしていても仕事をしているように見えるが、テレワークは時間ではなく、どれだけの成果を上げたかで評価される。仕事と家庭の境目があいまいな分、仕事を切り上げにくかったり、成果を出そうと頑張り過ぎたりしてしまうという。

 「まずは性善説に立って部下を信じること」と河さん。日報の提出や在席時間のチェックを通して「監視」するのは、本来の「自由で生産性が高い働き方」という利点を消してしまう。それよりも、ITツールを使って誰が、いつ、どんな仕事をしているのか社員間で共有する仕組みを作ることが大切だと説明する。業務の進み具合や成果を把握するためだ。

 テレワークでは、働く仲間と直接顔を合わせないため、コミュニケーション不足が大きな課題となる。メールや電話に加え、ビデオ会議システムやオンラインのチャットを活用したい。忘れてはいけないのが「雑談」の重要性。息抜きになるだけでなく、相談しやすい環境やチームの一体感が生まれるという。

 会議で最初の5分を雑談の時間にする、チャットで雑談ルームを作るなどの工夫が必要だ。同社では運動不足解消のため「ヨガタイム」を設けたり、ビデオ会議で顔を合わせながらのランチ会に費用を補助したりして、従業員同士の親睦を深めている。

 河さんは「世界から優秀な人材を獲得でき、賃料といったオフィスの費用を抑えられるなどテレワークの利点は大きい。コロナ収束後を見据えてできる部署から取り組んでみてはどうか」と話す。

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 いつもと違う環境での仕事に戸惑う人は多いだろう。ソフトウエア開発会社のシックス・アパート(東京)広報の壽かおりさん(40)はテレワーク歴4年。ツイッターで「#リモワノウハウ語るよ」とこつを発信している。リモワはリモートワークのこと、テレワークと同じ意味だ。

 まずは働く環境作りから。食卓やこたつでパソコン作業をする場合、姿勢が悪くなり、肩凝りや腰痛の原因になる。専用スタンドや厚い本などで目線に合わせてパソコンの高さを調整しよう。周囲の雑音が気になる人は、遮音機能付きイヤホンがお薦めだ。

 ついパジャマのまま仕事を始めてしまいがちだが、壽さんは「仕事モードに切り替えるために着替えは重要」と語る。スーツを着る必要はないが、外出できる格好に。ビデオ会議のためのメークが面倒な場合、眉毛と口紅だけで簡単に済ませる方法や、化粧をした自分の顔を画面上に表示できるアプリもある。

 ゲームや布団などの誘惑に負けそうな人、集中しすぎてしまう人はタイマーをかけよう。好きな曲を集めて1~2時間のプレイリストを作り、音楽が終わったら休憩するのもいい。「キリが悪くても時間になったら仕事を中断した方が再開がスムーズ」と壽さん。休憩時間には、おいしいコーヒーやお茶を丁寧に入れてリフレッシュしよう。

 保育園の登園自粛や学校の休校の影響で、家で子どもを見ながら仕事せざるを得ない家庭も多いのでは? まずは「10時から11時まで会議だよ」など予定をきちんと伝えて。小さい子どもには「アラームが鳴ったら一緒に遊ぼう」など見通しを立てた方が理解しやすい。夫婦で在宅勤務の場合は交代で子どもの相手をするなど協力し合おう。

 壽さんにも小学生の子どもがいるが、「乳幼児が家にいたらほとんど仕事にならない。会議は離席しても後で分かるように情報を記録し、緊急事態なので生産性が落ちても『お互いさまだから』と許容してほしい」と理解を求める。(新西ましほ)

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